試す
難しい
翌日の練習以降もブルペンでピッチング練習をしている杏菜。今の理想としては、左投げでも右投げでも同じ変化球を投げられてバッターに球種が分かってても打たれないボール。
元々球の遅い杏菜にしてみれば、左投げだから球が遅い。右投げだから球が速いという理論は当てはまらない。どっちで投げようがあまり関係ない。なのでそのバッターが左投手を苦にしているのか?右投手を苦にしているのか?それによって、投げ分けるスタイルでいる。
変化球であれば最悪コントロールが甘くなっても打ち損じてくれれば打ち取れるが、ストレートとそれに似たムービングファストボールに関しては構えた場所にコントロールが出来なければ打たれる。だからその辺のコントロールも併せて行わなくてはならない。
バッティング練習でマウンドに上がる時には特にその点を意識して投げ込む杏菜。練習を重なれれば重ねるほどストレートのノビやムービングファストボールに手応えを感じていた。
スローカーブ、パームボール、カットボールと全てを操るのはムリだと考えてまずはスローカーブを左投げでも右投げでも試合で使えるレベルまで持っていこうと考えていた。
ブルペンやシート打撃で投げていて、段々コツを掴んでいって打席に立っているバッターもクルクルと空振りを取れるまでになっていた。ならば次はどうするかなと考えていた。
パームボールは握りは違えど、チェンジアップに近い感じの変化球だからバッターの手元で曲がるというカットボールを習得しようと考えた。
最初はすっぽ抜けたり、ブルペンで誰かに立ってもらう時にはヘルメットとキャッチャーボーグを付けてもらわないと心配になるほどだった。杏菜の練習に付き合ってもらっているのにその子を怪我をさせてしまってはいけないという配慮だった。
練習でも、休みの日も只管投げ続けた。そして夏休みが終わる頃には左でも右でもとりあえずは投げられるレベルにはなった。
自由研究ではキッズスマホで撮影した写真を印刷して、変化球の習得に苦労した部分やその球種を投げようと思った経緯を書いた。
自由研究も終わり、キッズスマホでパームボールを投げるコツを調べているとプロ野球選手でも投げる選手が少ない程絶滅危惧種というくらいらしい。実際にプロ野球でパームボールを投げる選手の殆どが本屋で売っている変化球に関しての書籍で覚えた選手が多い。
パームボールを習得したいと考えている杏菜だが、それと同時に果たして自分に投げられるのかという不安と仮に習得出来ても試合で使えなければ宝の持ち腐れといってもいい。
握力や肩肘に負担がかからないからいいかなという安直な気持ちで練習していたパームボールがまさかこんなに習得するのに苦労するとは思いもしなかった。




