どうなるか
メンタル
翌朝、部屋で1番最初に目覚めたのは杏菜だった。誰も起きていない間にユニフォームに着替え、大広間で朝御飯を食べるギリギリまでストレッチをして身体を起こさせるないとと思いながらやっていた。振り返ると杏菜以外寝ている。
「早く起きないと集合時間に間に合わないぞ。朝御飯無しで開会式に出るのか。とっとと起きろ!」
そう語気を強めて言うと、やっと目を覚まして欠伸をしながら渋々寝ぼけながら大広間に連れて行く。新参者にこき使われて嫌ではないのかと思うくらいのんびり屋ばかりで手を焼いていた。
全員集まり、大広間で朝御飯を食べて旅館を後にして開会式が行われる球場に向かった。全国から集まった精鋭達、杏菜を含めた福山Phoenixリトルの選手と他のリトル選手達を見るとひと回りも体格が違っていて驚いた。
選手宣誓やお偉いさん方の話が終わって、福山Phoenixリトルの選手達はそのままスタンドに向かった。理由はシードで2回戦からの登場で開会式後に行われる試合結果で対戦相手が分かるからだ。杏菜としては、全国大会に来たら初出場のチームでも連覇を目指すチームだろうが関係ないと思っていた。
1回戦、福島県代表の勿来中央リトル対島根県代表の浜田松蔭リトルとの対戦が今か今かとグラウンドの準備が行われている。
島根県って同じ中国地方のチームで親近感が湧いていて、どちらも初出場同士の戦いでどっちが勝っても初勝利。勢いに乗ったまま福山Phoenixリトルと対決するのかと考えていた杏菜。出来れば僅差で勝ち上がって来ないかと願っていた。
だが、試合が始まってしまえばそう願い通りの試合展開にならないが勝負の世界。4回終わって16対0の圧勝で島根県代表の浜田松蔭リトルがコールド勝ちで2回戦に駒を進めた。ピッチャーも1安打完封と文句の付けようがないくらいのピッチングをしていた。
杏菜としては、この試合展開を始めて見たとは思えない。そう、県大会の準決勝での尾道瀬戸内リトルの試合を見た時も同じ衝撃を受けた。
そして、決勝戦では紆余曲折ありながらも杏菜がサヨナラエンタイトルツーベースにて全国大会出場を決めたから今回も勝てると何の根拠もない自信があった。
試合が見終わった後に他のチームメイトを見ると、前乗りした日にバスの中で燥いでいた人達とは思えないくらい落胆している。
ここで喝を入れて、全国大会に来たからには頂点を目指さないでどうするの。観光旅行に来たわけじゃないと言いたくなった杏菜だが、とてもそういう雰囲気でもない。試合前からこれで大丈夫なのかと不安しかなかった。
旅館に戻っても活気がなく、まだ戦ってもいないのにまるで負けて立ち直れないみたいな顔をしていて励ますべきか?それとも再び喝を入れるべきか悩む。逆転のPhoenix、サヨナラのPhoenixは果たしてどこへ行ってしまったのか。




