後悔
やりすぎた
やっと退院した杏菜。自分の部屋に戻ると当然の事ながらランドセルが置いてある。翌日の準備をして眠る。
病院に運ばれるまでは中学校のセーラー服を着て、指定の鞄とリュックサックで登校していたから余計にランドセルを背負って学校に登校するのが嬉しい。気持ちとしては入学式を迎えた新1年生の気持ちでいた。
教室についてクラスメイトがザワついている。もしかして自分の正体がバレたのか。そう考えていた杏菜だったがどうやらそうではなさそう。
前の席に座っている女の子が声をかけてきた。
「杏菜ちゃん、今日だけど算数のテストだけど勉強してきた?授業を聞いても全然分からなくて……どうしよう」
勉強したかどうか?しているはすがない。
そもそも杏菜が入院してた事を知らないのかと感じた。土日だけ入院して月曜日から登校している事になっているのか分からない。
ひとまず返事をする。
「心配しないで。杏菜も勉強を全くしていないから」
そう答えた。そりゃあ昨日まで入院していてその前は中学生の受験生だったからテストおろかテストで何が出題されるのかすら知らない。勉強の出来る子の勉強していないとは訳が違う。だってホントに勉強していないのだから。
前の子に今日のテストって何ページだったっけと怪しまれなくさりげなく聞くことにした。するとこのページと教えてくれて割り算や小数、分数と総合的で学年のまとめのテストみたいだ。
ついこの間まで高校受験に向けて勉強をしていた杏菜にとってはおちゃのこさいさいだった。逆に間違えたら恥ずかしいレベルだ。
そして算数のテストが始まった。
紙をめくると仮分数にするようにだの、帯分数にするようになど久しぶりに聞いた言葉に懐かしさすら覚えながら問題を解いていく。テストが始まってものの5分で終わってしまった。
暇すぎて絵を描いていたいなとすら感じていたが、15歳の杏菜のまま9歳の杏菜の今、余計なことをして心象を悪くしてはいけない。大人しく寝ていることにした。
まだ算数のテストだからいいものの、国語や他の教科でまだ習っていないのに書いたら減点。もしかしたらそうなるのかもと思ったら急に不便だなと感じてきた。知っていて書けるのに態々《わざわざ》ひらがなで書かなくてはいけないのは煩わしい以外の何物でもない。
やっとテストが終わって伸びをしていると周りの子はお互いに手応えはどうだったかと確認している。杏菜には無縁の世界だった。
翌日、算数のテストが返却されて当然ながら満点で担任の先生から今回のテストで満点を取ったのは福山杏菜さんだけでした。今まで半分も取れなかった子でも授業を聞いて復習をすれば結果が出ることを証明してくれたと話す。
そりゃあ15歳の学力のまま、小学生のテストを受ければそうなるでしょ。とは内心思っていたが決して口には出さない。
だが小学校3年生の時、そんなに勉強出来なかったかなと思いつつしばらく考えていた。15歳の学力を持ったまま9歳になれたのは喜ばしいことだが、より自己研鑽する為に長放課か昼放課には図書室で本を読もうと決めた杏菜だった。




