ため息
連絡
決勝を翌日に控えている杏菜。家に帰ってからはスパイクやピッチャー用グラブだけでなくキャッチャーミット、外野手用グラブとクリームを塗っていた。
夏の暑い日に人間も日焼け止めクリームを塗ったりするがそれと同様に自分が使っているグローブやスパイクがその日使わなくてもメンテナンスは欠かさず毎日行っていた。気がついたらルーティンの1つになっていた。
いつもありがとうという気持ちで愛でながら磨いており、お気に入りでもあるピンクのリストバンドも汚れていたらその都度ウェットティッシュで拭いたりしている。ありがとうの気持ちを込めて。
不戦勝もありつつも自分達が決勝まで進んだのか。後1つ勝ったら全国大会出場が決まるのかと考えると未だに信じられないでいる。あの強力な尾道瀬戸内リトルに対してどこまで太刀打ち出来るのか考えていた。
晩御飯を食べて、お風呂に入っていつもよりも早めに寝床についたものの中々寝付けずにいた。瞼を閉じてひとまず身体を休めたいと寝ている。
気がついたら朝になっており、寝れたのか寝れなかったかもよく分からずにいて寝不足感が否めない。朝御飯をしっかり食べて、集合時間よりも早めに出てどの場面でも出られる準備をしようとしていた。
決勝は午前中のため、特にお弁当が必要なくリュックサックにピッチャー用グラブ、キャッチャーミット、外野手用グラブとピンクのリストバンドを入っているのを確認し、何かあった時のためにもキッズスマホを持ってユニフォーム姿で家を出る。
ランニングをしながら集合場所に向かっているその時だった。制服を着た高校生に卑猥な言葉でわいせつ行為をしている姿を目撃してしまった杏菜。
他人を構っていられるほど時間があるかと言われたらあまり時間はない。とはいえ、目撃しておいてほっておいていいものかと自問自答している。遅れる覚悟で助けようと決めた杏菜。
とりあえずキッズスマホで警察に電話をして事情を説明をして来てもらう。次に水瀬監督にも諸事情により、集合時間に遅れる可能性があって時間になってもいなかったら先に現地に行って欲しい旨を留守電とメールをしていた。
警察が来ても犯人を取り逃しては元も子もないし、女子校生の子を考えてもいたたまれない。もう自分が同じ目に遭おうが関係ないと犯人に立ち向かっていった。
「おいコラ、見てたぞ。何やってんだ。早く女の子から離れろ。卑猥な言葉にわいせつ行為までしよっていい歳して恥ずかしくないんか。貴様みたいなのは女の敵じゃけ」
そして警察がやって来て、犯人はコイツですと突き出すと被害者の女の子は婦警警官と共に別のパトカーに乗っていてこれで試合に向かって走っていこうとしていた。
警察官から電話をくれたのは君かねと言われてそうだと答えると第1発見者として目撃した状況を詳しく聞きたいからと杏菜もパトカーに載せられてしまう。これではまるで杏菜が悪さしてパトカーに乗せられたと思われかねない。
パトカーに乗りながら今日はリトルリーグの決勝戦があってと何度も言うものの話を全然聞いてくれずに警察署に着いた。




