苦戦
強敵
何かあった時のためにと練習にもキッズスマホを持ち歩こうと決めた杏菜。何もないに越した事はないが、自分やチームメイトそして試合や練習に行く道中に倒れている人や困っている人がいた時にはスマホで電話なりする必要があるからと防犯として、緊急性の時のために身につけでいた。
1回戦から1週間が経った日曜日、2回戦の福山北部リトルとの試合は1回戦と同じグラウンドで行われる。この日もまたスパイクと外野手用グラブとキャッチャーミット、そしてピッチャー用グラブと杏菜の代名詞といえるピンクのリストバンドもリュックサックに入れて試合に臨んでいる。
この試合はフルメンバーで戦えるから今日はキャッチャーをしなくてもいいのかなと頭の片隅にある杏菜。キャッチャーとしてはまだまだだがキャッチャーフライや配球も少しずつ勉強している。この試合前のノックは外野手としてなのか?それともキャッチャーとしてなのか分からない。
スタメンが水瀬監督からこの日は6番レフトでスタメン出場が決まる。その後、外野にてノックを受ける杏菜。外野フライも卒なくこなしてバックホームはワンバウンドでストライク返球を投げれるまでになっていた。
この日は先攻で、水瀬監督からは常に、ランナー1塁、3塁でどんな攻撃でも出来る様にしようと声をかけられた。
相手は県内でも屈指のチームで優勝候補に挙げられていてその相手にどこまで太刀打ち出来るのかと見立てていた杏菜だった。
試合が始まり、そう理想通りの試合運びとはならない。初回3者凡退で守りに付く。
この日の先発は将希君。ブルペンで直接受けた訳ではないものの、ベンチから見た感じはボールが走っているなと感じていた。
1番打者の初球高めのストレートが外れてボール。2球目を振り抜いて絵に書いたようなセンター前ヒット放つ。2番打者がエンドランで0アウトランナー1塁、3塁。自分達のしたかった攻撃を相手にされている。3番打者がライトに犠牲フライを打って先制点を与えてしまう。その後は後続を抑える。
福山対決はまさに対照的な試合展開になり、Phoenixリトルは追い込まれる前に打とうと早打ちをして塁に出られないのに対して北部リトルは2回、3回と塁に出て送りバントやタイムリーを放ち、3回終わって3対0とリードを付けられてしまっているPhoenixリトル。
残されたイニングは3イニング。外野から戦況を眺めていた杏菜としてはもう1点入れってしまえば相手ピッチャーの出来からして決勝打と言っても過言ではない。
早くマウンドに上げろという気持ちも少なからずあるものの、今の将希君をどこまで引っ張るのかな?そう見ていた。間隔的に宏斗君も投げられるし、いざとなれば杏菜も水瀬監督にマウンドに上げてくださいと直訴するつもりでいた。




