怯える
こうなれば
何やともあれ1回戦に勝った杏菜の所属する、福山Phoenixリトル。まさかのキャッチャーでの出場には驚き、水瀬監督からは初回のあのプレーは初心者とは到底思えないプレーでピッチャーとして投げる日以外はキャッチャーマスクを被って欲しいくらい。
それは褒め言葉と受け止めていいのだろうか?杏菜がピッチャーとして投げる日以外には、キャッチャーマスクを被って欲しいと言われたもののまだそのピッチャーとしての登板がない。采配にケチを付けるつもりはないものの疑問符が残る。
その言葉を正直に受け取ると、またキャッチャーとして出場する可能性もあるから試合時には常にキャッチャーミットを持ち歩かなきゃダメだよ。そう言われている気がしてならない。杏菜のメインポジションはどこなのか?知りたいと思う。
2回戦はシードの同じ福山市にある福山北部リトルになる。相手は昔からあるチームで、同じ市内にあるPhoenixリトルは最近出来た新興チーム。試合数も経験値も段違いだ。
トーナメントである以上、負けたらそこで終わり。1点差だろうがコールド勝ちしようが勝ちは勝ち。逆に言えば1点差で負けようが惜しいなんて言葉は通用しない。勝ったものだけが上に行ける戦いに今立っている。
杏菜としてはキャッチャーというポジションが嫌いという訳ではない。予め先に言ってくれればいいのだが、何の説明もなしに突然キャッチャーと言われても心の準備が出来ていなかった。
全国大会出場のために、スタメンで試合に出られるのならばどこのポジションでも試合に出場したいしベンチスタートならば守備固めであってもリリーフでも、代打でも代走でも準備を備えるだけだと決意をする。
そして水曜日に終業式を迎え、本格的に野球漬けの日々が始まる。練習時には練習用ユニフォーム、スパイク、ピンクのリストバンドのほかに外野手用のグローブにキャッチャーミット、ピッチャー用グラブと終日練習の際にはお弁当と水筒をリュックサックに入れて向かう。
ノックの際には外野にて受ける。入団当初はフライが全然取れず落下点も分からなかったが、しばらく練習していたら何となくの感覚で取れるまでに成長していた。
その後はシートバッティングで投げたり、投内連携の練習する以外にブルペンに行って宏斗君や将希君のボールを受けたりしている。杏菜のピッチング練習はそれからでキャッチャーミットからピッチャー用グラブにはめ変えて投げ込みをする。
入りたての時は初心者の自分が試合に出られるかどうかも分からないと思いながらやっていたものの、数ヶ月でまさか複数ポジションをやってくれと奔走するとは思いもしなかった。
微力ではあるが、チームの戦力になっていると実感出来ていて嬉しい。
練習後に水瀬監督から集合場所に行く途中や家庭の事情等で練習や試合に行けないって分かったタイミングで電話なりメールをして欲しいとそれぞれに緊急連絡先の紙を配布された。
家に帰ってパパとママに事情を説明してキッズ用のスマホがあれば買って欲しいとお願いをして買ってもらい、パパとママに水瀬監督の連絡先を登録をした。




