その名は
どんな打者か
土曜日、朝から雨が降って気持ちもブルーになっていた杏菜。今日の練習はどうなるのかなと思っていたら水瀬監督から電話がかかってきた。
午前9時から河川敷近くにある会議室にユニフォームで来て欲しい。そう言われて電話が切れた。今回は家に電話かかってきたけど、連絡は監督からキャプテンを通じて個々に電話をかける連絡網方式なのか?それともLINEでやり取りするのか?そうなると杏菜もスマホを持たなくてはならない。
それは聞いてから聞くとして、ひとまず傘をさして
会議室に向かった杏菜。全員集合して、着席を促された。何で集められたのだろうか誰にも分からなかった。
水瀬監督が自分がどういう打者なのかを言語化して欲しいと突然言われた。全員が改めて、自分がどういう打者なのか考えていた。
それぞれ出塁する、確実に送りバントを決める、際どいボールをファールにして長打を打つといった各自が目的を持ってやっていると改めて感じた。
そうして最後に杏菜の番が回る。
「杏菜としては、送りバントだけでなくランナー2塁の場面だったら自分がアウトになっても進塁打を打ったり、ランナーがいなければクリンヒット打てれば理想ですが、内野安打でも塁に出てかき回す。塁に出したくないとピッチャーに思わせたい」
そうは言ったものの今の杏菜ではそれは難しい。そのためにも足を速くするのは勿論、選球眼や芯で当てる確率をジャストミートをしなければならない。
続いて個人に引き続きチームとしてどういうバッティングをしていくかという話になった。打て打てといくアグレッシブベースボールでいくのか?それとも送りバントや盗塁、エンドランを攻撃のメインとするスモールベースボールするのか?どうするのがいいか、水瀬監督も含めて全員で考えていた。
すかさず野球初心者でもある杏菜が手を挙げた。
「アグレッシブベースボールとスモールベースボール、そして強力な打力頼るのではなく、投手力・守備力・走塁といった「守り」を中心として最少失点で勝利を目指す野球のスタイルのディフェンスベースボールを組み合わせたハイブリッドベースボールとか出来ないですかね?打ちながら小技を使いつつもその点を守る。みたいな……?」
ハイブリッドベースボールか……。考えもしなかったと水瀬監督は呟く。言われてみれば別に1つの型にはめる必要はない。今、福山さんが言ってくれたハイブリッドベースボールって言うのは結局そのケースに応じてどうするかっていう話。みんなでこのハイブリッドベースボールを作りあげよう。
最後円陣を組んで、ハイブリッドベースボールで全国大会出場するぞとキャプテンと意気込んだ。
どうしても水瀬監督やキャプテンがやたらとハイブリッドベースボールと言っていて、何かのツボにハマった感じがして仕方ない。言うだけでなく、それを体現出来なくては意味がないなと自分で提案をして感じで仕方なかった。




