懇願
秘密の特訓
エースの宏斗君からピッチャーをやらないかと言われて動揺している杏菜。プロ野球中継を見ていても、解説の人がよく試合を作るのも壊すのもピッチャー。そんな大役をついこの間リトルリーグに加わったそれも実力も技術もない人に何で勧めるのか分からずにいた。
家に帰って、どんなフォームがいいかなと考えていて理想としては右でも左でも上からでも下からでも投げたい。
そして、どんなピッチャーを目指したいかと考えた時に奪三振は見ている人を魅了するが球数を要する。球数制限のあるリトルリーグでは、少なく抑えたいと考えていた。そうすれば何かあった時のリリーフ登板出来る。
とりあえず晩御飯を食べてからお風呂が湧くまでの時間に宿題を終わらせて姿見でシャドーピッチングをする。やるからには戦力にならなきゃ逆に足を引っ張る形ではダメだと思っていた。
お風呂に入って翌日の用意をして眠る。前に国語のテストでつい漢字で書いたら習っていない漢字を書いてはダメと答案用紙に書かれていて満点を逃すという痛恨のミスをしていてピッチャーでは気を付けないと。
翌日、学校に行って授業が終わったら科学部に行く杏菜。もうちょっと真剣に取り組めばよかったなと思いつつも、これからは科学部での実験も野球も手を抜かずにやっていきたい。
科学部が終わって帰ろうとすると、宏斗君からグローブを持って河川敷のグラウンドに来て欲しい。そう言われた。その意味は何となく理解出来た。硬式ボールを公園で投げて誰かに当たったらどうなるかという配慮だろう。
家に帰ってランドセルを部屋に置き、グローブを持って河川敷に行くとママに伝えて家を出る。自転車を乗る時にも気をつけなきゃと呟きつつ向かっていた。
グラウンドに行くと既に宏斗君が待っていた。杏菜が自転車を止めてグラウンドに入る。
まず軽くキャッチボールをする。チームのエースと呼ばれるだけあって宏斗君が投げるボールはキャッチボールでも球が速くて重たい。数10球投げ終えるとブルペンに案内された。
歩幅を合わせて穴を掘って、軸足で踏ん張って投げる。まずはこのイメージを持って投げてみてとボールを渡された。勝手に「ブーメラン投法」と名付けた斜めから投げ込んだ。中々歩幅が会わずに途中で転んだ。
拗ねて帰ろうかなとも思ったが、杏菜に声をかけたなら試合に使えるレベルまでちゃんと面倒見てよねとちょっと女の子っぽくお願いをした。
それは勿論と日が暮れるまで投球以前の歩幅を合わせたり、何歩と決まったら次は投球練習をして次の練習まで基礎を徹底しようと言ってくれた。
実際にピッチャーとしての基礎をひと通り出来たとしてもまずは仲間に通用するのだろうか?公式戦の前に練習試合通用するのだろうか?とりあえずまずはこの遅いストレートをいかに速く見せて、変化球で抑えるか考えていた。




