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衝撃

チャンスなのか、ピンチなのか

練習から帰ってきた杏菜あんな。チームメイトは優しい男の子達ばかりでよかったという気持ちでいた。野球初心者とはいえ、キャッチボールでもノックでも、バッティング段違いだと痛感した。


何だか肉体的よりも精神的に疲れたなと感じた。ユニフォームを脱いでお風呂に入る杏菜あんな。明日の予定も確認しておこうと考えていた。少しずつ出来るようになるしかない。そう考えていた。


お風呂から出て髪を乾かし、リビングに置いてある予定表を目を通した杏菜あんな。驚きのあまり2度見して声を出してしまう。


え?明日、練習試合ってなってる?ホントに?とはいえ、杏菜あんながこの予定表を渡されたのは数日前。ということは練習試合はあらかじめ決まっていた話だろう。パパとママから頑張ってねと声をかけられた。


ママがパパの方を向いて、ママも応援に行くのと言わんばかりの表情をしつつも怪我けがをしない様にと声をかけられた。


翌日、ユニフォームとグローブやスパイク、愛用しているピンクのリストバンドをして家を出て、時間通りに河川敷かせんしきに向かう。


ウォーミングアップをしていると、隣町のチームがやって来た。


相手の練習も終わって石灰で打席やホームから1塁と3塁に向けて白線を引いて、ベースをはめ込んで準備を終えた。


オーダーが発表され、お互いのキャプテンがメンバー表を交換して杏菜あんなのいる福山ふくやまPhoenixリトルは後攻に決まった。各チームのコーチが審判を務める形でホームベースを挟んで、整列をして帽子を取って挨拶あいさつをした。


昨日加入したばかりの杏菜あんなは流石に昨日の今日で試合には出ないだろうとチームが勝ちに導けるために応援に徹しようと決めた。


互いにゴロやフライ、そして三振で全く試合が動かない。状況を打開しようと代打を出したり、投手交代したりと試行錯誤をするものの変わらない。


試合が動いたのは最終回の6回裏。福山ふくやまPhoenixリトルの攻撃、先頭の6番打者がフォアボールで塁に出ると続く7番打者がヒットで繋ぐ。次の8番打者が送りバントを決めて1アウトランナー1、2塁。ここまでで試合に出ていないのは杏菜あんなだけになっていた。


もしやという気持ちとまさかという気持ちで待っていた。9番打者が三振で2アウトになる。水瀬みなせ監督が杏菜あんなを呼んで代打を告げた。


「空振り三振でもいいから思いっきり振るように。結果は求めないから、気楽な気持ちで」


そう言われ、ピンクのリストバンドをポンポンと2回叩いて左打席に向かう。初級のボールを見送って2球目、左投手のインコース低めのスライダーを振り抜いた。すると打球はセカンドの頭を越えて、2塁ベースに当たって外野に飛んでいった。


打った杏菜あんなが2塁に行くと、ホームベースではナイスラン、サヨナラだと喜んでホームベースに来るように促された。状況が全く分かっていない杏菜あんなだが、整列をして挨拶あいさつをする。


サヨナラ男ならぬ、サヨナラの女神だなと称えてくれたものの状況が把握出来ていない。勝ちに導けたみたいで嬉しい。


15歳の杏菜あんな

9歳の杏菜あんなは初めてリトルリーグの練習試合に出場してヒット打ったの。それもサヨナラのヒットって言ってチームの勝ちに繋がるヒットみたくて少し仲間として認められた気がするよ。





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