入団前
悩み中
パパに聞き損ねた女の子投げという言葉。その女の子投げとはどういう投げ方なのか調べた杏菜。
ボールなどを投げる際に、頭の上から腕を振るのではなく、下から上にすくい上げるように投げたり、肘が下がった状態で押し出すように投げるフォームを指すと書かれていた。
改めて自分がどういう投げ方をしているのか、自分の部屋にある姿見でシャドーピッチングをしてみる。するとやっぱり女の子投げになっている。
理想としてはリトルリーグ練習が始まるまでにその女の子投げではなくて普通に投げたいと考えていた。自分が怪我をしないため、キャッチボールをする時の相手のためと考えていた。
とりあえず矯正するにはどうしたらいいか、ネットに頼ってばかりもいかがとは思いつつもパパもまだ帰ってきていないし、福山Phoenixリトルに何でも聞ける子がいるという感じではない。名前を知っているのは水瀬監督くらいだが、どこに住んでいるのかすら知らない。
何気なく右でも左でも投げられる杏菜だが、ふと何でだろうと考えていた。それ以外にも右でも左でもペンや箸を持つ事が出来るのは何か理由があるはず。
だが、当の本人である杏菜はというと、骨折とか捻挫をしていたら記憶にあるはずなのに全くと言っていい程記憶にない。9歳になる前に骨折や捻挫してたかな。そのレベルだ。
ママにその真相を聞いてみた。どうして杏菜って箸やペンを右でも左でも使えるの?
するとため息をついて話をした。
「ホントに覚えてないの?そっか、杏菜は元々左利きだったけど、5歳の時に左手を骨折をしたから左手で箸やペンを使えなくて大変だから、パパとママが右手を持たせたら1週間くらいで使えて左手と遜色なく使えて、治ったかと思ったら今度は右手を骨折と捻挫をして、1年のうち半年以上はどちらか片手ギブス付けてる感じだったかな」
5歳の骨折と捻挫の話を聞いて、そういえばそうだった。とは全くと言っていいほど記憶にない。それだけ話を聞くとギブスとトモダチみたいな感じだが、どれだけ記憶を遡っても覚えてない。きっと痛いのは覚えてるのはつらいからだろう。そう自分に言い聞かせた杏菜。
そういう経緯もあって左手でも右手でも何でも出来る杏菜。手先も器用だから、左でも右でも女の子投げを脱却出来てポジション毎に左投げと右投げを使い分ければ鬼に金棒だろうなと考える。
そしてパパが帰ってくるなり、キャッチボールをしようと誘う。今は家にある左利きのグローブにてキャッチボールをしているが右利きのグローブもあればと頭の片隅にあった。
パパからは昨日はガッツリ女の子投げだったのに、見違える程上手くなってる。後はコントロールとボールをキャッチを出来ればと伝えられた。
そうか、キャッチボールは相手にボールを投げるだけでなくて相手からのボールを捕らなきゃいけない。ゆっくり投げてもらえれば捕れるレベル。
まだまだやらなくてはならないことは山積だな。初心者だから仕方ないと自分に言い聞かせた杏菜であった。




