表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/37

壊して確かめる


 七日目の朝。


 私は焼いた透明魚を食べ、雨水を飲んだ。


 身体に異常はない。


 空腹と水分を満たしたあと、仮拠点αに並べた材料を見直す。


 白灰土。


 赤粘土。


 板石。


 砕石。


 丈夫な蔓。


 昨日、四眼の民へ戻ると伝えた。


 だが今日は、古代施設へ向かわない。


 壊れた水路を目の前にしても、手元の材料が使えるか分からなければ何も直せない。


 白灰土は水を加えると発熱した。


 赤粘土は強い粘りを持つ。


 板石は、水路の欠けを補う形に使えるかもしれない。


 それぞれ単体の性質は見た。


 だが、混ぜた時にどうなるかは試していない。


 本番で初めて混ぜるのでは遅い。


 古代施設の水路は、試験台ではない。


 失敗してよい場所で、失敗を終わらせてから向かう。


 私は材料を竹製運搬筒と葉の包みへ分け、湖畔前線基地βへ向かった。



     *



 午前七時五分。


 βの作業台へ、材料を並べる。


 近くには湖がある。


 水を少量ずつ使える。


 失敗しても、地面や古代施設を汚すことはない。


 火を使う場合も、石で囲った焚き火場がある。


 材料試験を行うには、仮拠点αより適していた。



 混合前には、材料の量もそろえた。


 正確な秤はない。


 そこで同じ竹節を計量器として使う。


 白灰土は竹節二杯。


 赤粘土は一杯。


 砕石は一杯。


 水は小さな葉の窪みを一単位として加える。


 数字として厳密ではなくても、次に同じ配合を再現できる。


 「適量」とだけ書けば、現地ではもう一度最初から探ることになる。


 容器。


 回数。


 練った時間。


 外気温。


 乾燥を始めた時刻。


 測れる範囲を固定する。


 水路を修理する時に必要なのは、一度だけうまく固まる材料ではない。


 同じ手順で、必要な量を何度でも作れる材料だった。


 最初から大量には作らない。


 配合が失敗すれば、白灰土も粘土も無駄になる。


 小さな試験片一つ分。


 それだけを混ぜる。


 平板石の上へ白灰土を置く。


 細い竹べらで中央へ窪みを作る。


 水を一滴。


 二滴。


 すぐに変化が始まった。


 粉の表面が濡れる。


 その直後、じんわりと熱を持つ。


 私は素手で触らない。


 手袋越しに平板石の端へ触れる。


 温かい。


 煙は出ない。


 泡も立たない。


 刺激臭もない。


 水を少しずつ追加しながら、竹べらで混ぜる。


 乾いた粉が、なめらかな灰白色のペーストへ変わる。


 水を一度に入れれば、薄くなりすぎる可能性がある。


 べらを持ち上げた時、ゆっくり落ちる粘度で止めた。


 次に赤粘土。


 白灰土と同じ量を入れない。


 まず少量。


 混ぜる。


 色は薄い灰色へ変わった。


 白灰土だけより粘りが増す。


 べらで引くと、短い糸のように伸びる。


 そこへ細かく砕いた小石を加える。


 粉ではない。


 大きさの異なる粒を少しずつ。


 粘土と白灰土だけでは、乾燥時に大きく縮む可能性がある。


 砕石が骨格になれば、形を保てるかもしれない。


 全体を練る。


 手で直接触れず、厚い葉の上から丸める。


 崩れない。


 粘土だけより硬い。


 石だけのようにばらばらにもならない。


 地球で見たモルタルに似た感触。


 同じ材料だとは断定できない。


 だが、隙間を埋め、石をつなぐ用途には使える可能性がある。


 私は二枚の板石を選んだ。


 表面の土を落とす。


 間へ試作品を塗る。


 厚すぎない。


 薄すぎない。


 板石同士を押し付け、余分に出た材料を竹べらでならす。


 試験開始時刻を記録した。



     *




 硬化中の試験片は、直射日光へ置かなかった。


 表面だけが急速に乾けば、内部との収縮差で割れる可能性がある。


 βの作業台の下。


 風は通るが、日光は直接当たらない場所。


 その条件で乾かす。


 比較用として、ごく小さな一片だけを日向へ置いた。


 日向のものは早く白くなった。


 だが、端へ細いひびが生じた。


 日陰のものは乾燥が遅い代わりに、表面が均一だった。


 補修材そのものだけでなく、硬化させる環境も結果へ影響する。


 本番では、塗ったあとに水を止め、時間を置く必要がある。


 施設内の温度と風も確認しなければならない。


 三十分後。


 表面はまだ柔らかい。


 指で強く押せば跡が付く。


 だが、端を爪でこすっても簡単には剥がれない。


 板石を持ち上げようとはしない。


 硬化途中で動かせば、試験条件が変わる。


 さらに待つ。


 二時間後。


 色が少し明るくなった。


 表面の湿りも減っている。


 上側の板石だけを持ち上げる。


 下側も一緒に上がった。


 接着部は外れない。


 軽く振る。


 ずれない。


 次に水試験。


 湖水を一度にかけず、数滴だけ落とす。


 表面の色が濃くなる。


 すぐ崩れない。


 竹べらで端を押す。


 乾いた時より少し柔らかくなる。


 しかし粘土のように溶けて流れることはない。


 白灰土、赤粘土、砕石。


 この組み合わせは、接着材として使える。


 ただし、完全硬化には時間が必要。


 水路へ塗った直後に水を流せば、剥がれる可能性がある。


 修復するなら、乾燥させる時間を確保しなければならない。



 水試験も、一度濡らして終わりにはしなかった。


 水滴を落とす。


 乾かす。


 もう一度濡らす。


 三回繰り返す。


 一回目では問題がなくても、吸水と乾燥を繰り返せば、表面へ細かな亀裂が出る可能性がある。


 基準配合は三回目で、板石との境目がわずかに白くなった。


 剥離はしない。


 ただし、水が継ぎ目へ少しずつ入っている。


 白灰土を多くした配合は、その変化が小さい。


 耐水性の差は、一滴を弾くかどうかだけではなかった。


 濡れることを繰り返したあとも、接着を保てるか。


 水路へ使うなら、そちらの方が重要だった。


 配合を変えながら試していると、白灰土を多くしたものの表面へ、小さな結晶が現れた。


 透明に近い粒。


 湖水を一滴落とす。


 水滴が染み込まず、丸い形を保った。


 完全に弾いているわけではない。


 しばらくすると少しずつ濡れる。


 それでも通常の粘土より、明らかに水が入りにくい。


 白灰土の割合を増やせば、耐水性が上がる。


 だが増やしすぎれば、粘りが減って割れやすくなる可能性がある。


 一つの性質だけを最大にしても、実用的とは限らない。


 水を止める。


 割れない。


 板へ付く。


 硬化後も形を保つ。


 必要なのは、そのバランスだった。



     *



 基本配合の結果だけで、本番用を決めることはできない。


 手元には、これまで資源として集めてきた別の素材がある。


 透明魚の骨。


 赤紫果。


 黒光実。


 黒光実の殻。


 それらを少量加えた時、補修材の性質が変わるかもしれない。


 私は同じ大きさの試験片を六つ作った。


 基準となる白灰土、赤粘土、砕石、水の量はそろえる。


 最後に加えるものだけを変える。


 A。


 添加材なし。


 基準。


 B。


 透明魚の骨粉。


 C。


 加熱してジャム状にした赤紫果。


 D。


 黒光実の果肉を、ごく少量。


 E。


 黒光実の殻を砕いた粉。


 F。


 骨粉と赤紫果の両方。


 形と大きさをそろえる。


 試験片には、それぞれ細い竹片を差して印を付けた。


 一本は基準。


 二本は骨粉。


 三本は赤紫果。


 切れ込みを入れたものは黒光実。


 黒く染めたものは殻粉。


 骨粉と赤紫果には、横向きの短い枝。


 色だけに頼れば、加熱や乾燥で見分けられなくなる。


 記録と現物が対応しなければ、比較結果そのものが失われる。


 未知の素材を扱うほど、名前を付け、印を付け、順番を守ることが重要になる。



 乾燥する場所も同じ。


 条件を変えすぎない。


 比較できなければ、試験片を増やす意味がない。


 最初に骨粉。


 魚骨を火で十分に乾燥させる。


 平板石の上で砕く。


 細かな白い粉にする。


 基本配合へ混ぜた瞬間、大きな反応はない。


 ただ、べらで練った時の粘りが少し増した。


 乾燥後。


 六つの中で最も硬い。


 小石で軽く叩く。


 コツッ。


 高い音。


 さらに強く叩く。


 突然、ひびが走った。


 硬い。


 しかし衝撃を逃がさず、一気に割れる。


 壁や床の圧縮には強いかもしれない。


 水路の継ぎ目のように、微妙に動く場所へ使えば割れる可能性がある。


 次に赤紫果。


 加熱した果肉を少量だけ混ぜる。


 材料全体が茶色を帯びた。


 基準より乾燥が遅い。


 時間を置いても完全には硬くならず、わずかな弾力が残る。


 指で曲げようとすると、割れずに少し変形する。


 水をかける。


 剥がれにくい。


 構造を支える硬さは不足している。


 だが、動く継ぎ目を埋める接着材としては使えるかもしれない。


 黒光実の果肉。


 ごく少量。


 以前、濃縮粒子と強く反応した素材だ。


 量を増やさない。


 混ぜた直後は変化なし。


 数分後。


 試験片全体が、わずかに銀色へ変わった。


 装置を近づける。


 エネルギー反応なし。


 硬さは基準とほぼ同じ。


 現時点で分かる変化は、色だけ。


 色が変わったから性能が上がったとは考えない。


 黒光実の殻粉。


 黒い殻を細かく砕き、混ぜ込む。


 乾燥すると、表面に銀色の粒が点々と現れた。


 水滴を落とす。


 基準より少し弾く。


 殻そのものが持つ耐水性が、試験片へ移った可能性がある。


 最後に、骨粉と赤紫果。


 骨粉単体ほど硬くない。


 赤紫果単体ほど柔らかくもない。


 小石で叩いても、すぐには割れない。


 少し力を逃がす。


 水をかけても、表面が崩れにくい。


 六つの中で最もバランスがよい。


 水路の壁や大きな亀裂へ使うなら、この配合が候補になる。


 ただし、耐水性だけなら殻粉入り。


 強度だけなら骨粉入り。


 用途によって選ぶべきだった。



     *



 試験片を並べて乾燥させていると、地面の草が動いた。


 四つ目モグラが一匹、βの近くまで来ている。


 仮拠点αの巣から、ここまでついて来たのか。


 別の地下道が湖の近くまで伸びているのか。


 判断できない。


 私は試験片から離れ、相手の動きを見る。


 モグラは一つずつ鼻先を近づけた。


 基準。


 骨粉。


 赤紫果。


 黒光実入りへ近づいたところで、足を止める。


 それ以上寄らない。


 避けるように横へ回った。


 殻粉入りにも距離を取る。


 骨粉と赤紫果を合わせた試験片へは、何度も鼻先を近づけた。


 前足で一度だけ触る。


 食べない。


 持ち去らない。


 何かを確かめたあと、満足したように来た方向へ戻っていった。


 匂い。


 硬さ。


 地中で使う素材に近いもの。


 相手が何を感じたかは分からない。


 ただ、黒光実入りを避け、骨粉と赤紫果入りへ強く反応した。


 生物の行動だけで材料の安全性を決めることはできない。


 それでも、追加の観察として記録する価値はある。



     *



 強度。


 接着。


 耐水。


 そこまで確認しても、まだ足りない。


 古代施設は環境維持設備。


 壁の結晶は発光し、円盤や台座はエネルギーを扱っている。


 水路へ高温が掛かる証拠はない。


 それでも、施設内で熱が発生する可能性はある。


 修復材が火や熱でどう変化するか。


 完成後に初めて知るべきではない。


 私は六つの試験片を燃焼試験へ掛けることにした。


 一度に焚き火へ投げ込まない。


 比較できなくなる。


 火の強さを一定に保つ。


 試験片を同じ距離へ順番に置く。


 加熱時間を記録する。


 A、基準。


 十分。


 表面へ煤が付く。


 燃えない。


 二十分。


 表面だけが焼けた。


 内部は形を保っている。


 予想より耐火性が高い。


 B、骨粉入り。


 十五分。


 白っぽく変色。


 細かなひび。


 炎は出ない。


 冷やしたあと、指で押す。


 ボロッ。


 硬さを増した骨粉は、熱を受けたあと逆に脆くなった。


 高温部へ使うべきではない。


 C、赤紫果入り。


 数分で甘い香り。


 表面から細い煙。


 十分後、外側だけが炭化した。


 内部の弾力は残る。


 燃え上がるのではなく、焦げる。


 接着性を持つ有機物が熱で変質する。


 水路へ使う場合でも、火の近くは避けるべきかもしれない。


 D、黒光実入り。


 五分。


 変化なし。


 十分。


 銀色の筋が浮かび始める。


 十五分。


 ピシッ。


 表面へ細かな六角形模様が現れた。


 割れた音ではない。


 模様が形成された時の音。


 炎は出ない。


 装置を近づけても、明確なエネルギー反応はない。


 だが、冷え始めた直後。


 試験片が青白く、一度だけ光った。


 約二秒。


 装置表示。


《TRACE REACTION》


《UNKNOWN》


 微弱反応。


 解析不能。


 エネルギー源として使える強さではない。


 それでも、加熱中ではなく冷却時にだけ反応した。


 温度変化。


 黒光実。


 六角形構造。


 別の実験へつながる現象だった。


 E、殻粉入り。


 熱を加えても黒くならない。


 表面の光沢が増す。


 六つの中で、最も耐火性が高い。


 黒光実の殻は、耐水性だけでなく熱にも強い。


 F、骨粉と赤紫果。


 二十分。


 形を保つ。


 細かなひびは少ない。


 基準よりわずかに強い。


 骨粉単体の脆さを、赤紫果の柔軟性が補っているように見える。


 万能ではない。


 だが、強度、柔軟性、耐水性、耐熱性のバランスはよい。



     *




 燃焼後は、熱い状態で強度を確かめなかった。


 温度が違えば、同じ力を加えても結果が変わる。


 すべてを同じ場所で冷ます。


 手袋越しに温度差が分からなくなるまで待つ。


 それから同じ小石、同じ高さ、同じ回数で叩く。


 完全な試験機はない。


 それでも、条件をできるだけそろえれば、比較はできる。


 骨粉入りが崩れたのは、強く叩きすぎたからではない。


 基準やほかの試験片が耐えた条件で、そこだけが崩れた。


 その違いを確認できたことに意味があった。


 結果を並べる。


 基準。


 安定。


 骨粉。


 硬いが脆い。


 熱でさらに脆化。


 赤紫果。


 柔軟性と接着性。


 高温では炭化。


 黒光実。


 硬さは基準並み。


 加熱後の冷却時に未知反応。


 殻粉。


 耐水性と耐火性。


 骨粉と赤紫果。


 全体のバランスがよい。


 一種類ですべてを直す必要はない。


 大きく欠けた壁。


 硬さと形状保持が必要。


 骨粉を含む配合。


 細い継ぎ目。


 動きへ追従する柔軟性と接着性が必要。


 赤紫果を含む配合。


 水が常に触れる表面。


 殻粉で耐水性を高める。


 熱やエネルギーに近い場所。


 殻粉、あるいは黒光実系。


 用途ごとに配合を変える。


 水路全体を一つの材料で塗り固めるのではない。


 壊れ方に合わせて直す。


 それが、七日目に得た答えだった。



     *



 午後。


 実験を終えたあと、私は材料を補充した。


 遠くへは行かない。


 βとαの周囲。


 既知の安全範囲だけ。


 赤粘土。


 さらに約五キログラム。


 乾かないよう、大きな葉で包む。


 白灰土。


 約三キログラム。


 採取している途中、空気中の湿気を吸い、表面が固まり始めることに気づいた。


 葉で包むだけでは足りない。


 乾いた空洞竹へ入れ、蓋を樹脂と蔓で固定する。


 水を加える前から湿気へ反応する。


 保存方法も、材料性能の一部だった。


 小石と砕石。


 大きさごとに分ける。


 何でも同じ袋へ入れない。


 細かな充填用。


 骨格用。


 板石を支える大きめのもの。


 用途で分類する。


 丈夫な蔓。


 予備。


 弓弦に使える弾性繊維も少量。


 保水繊維。


 寝床、ろ過、補修のために補充。


 午後四時四十五分。


 仮拠点αへ戻った。


 今日は新しい工作を始めない。


 採った素材を種類ごとに分ける。


 白灰土は竹筒。


 赤粘土は湿度を保つ葉包み。


 砕石は大きさ別。


 試験片も、結果が分かる印を付けて保管する。


 成功したものだけを残さない。


 割れた骨粉入り。


 炭化した赤紫果入り。


 六角形が現れた黒光実入り。


 すべてが、次に同じ失敗をしないための資料になる。



     *



 夕食には、保存していた透明魚を焼いた。


 火加減は、もう大きく迷わない。


 表面を焦がさず、中心まで熱を通す。


 魚を焼く匂いは、仮拠点αの日常の一部になっていた。


 煮沸した雨水と一緒に食べる。


 食後、今日の結果をノートへ整理した。


 基本補修材。


 接着可能。


 耐水性あり。


 完全硬化には時間。


 添加材による性質変化。


 骨粉。


 赤紫果。


 黒光実。


 殻粉。


 燃焼後の変化。


 用途別配合。


 材料の保存方法。


 七日目は、古代施設へ一歩も近づかなかった。


 四眼の民とも会っていない。


 銀脈根へ水を与えてもいない。


 見た目だけなら、約束を果たす日から遠ざかったように見える。


 だが、今日の実験がなければ、次に施設へ行っても、亀裂へ粘土を押し込むことしかできなかった。


 それでは修理ではない。


 その場を一時的に塞ぐだけ。


 水を流し、熱や時間へ耐え、壊れ方に合わせて補える材料。


 その候補ができた。


 夜。


 屋根を確認する。


 雨水回収装置も異常なし。


 武器を手の届く位置へ置く。


 身体を保水繊維へ包む。


 今日は危険な生物にも、未知の施設にも出会わなかった。


 その代わり、作ったものを自分で壊した。


 水をかけた。


 火へ当てた。


 叩いた。


 割れた理由を記録した。


 成功したから使えるのではない。


 壊れる条件を知ったから、使う場所を選べる。


 実験。


 結果。


 改良。


 補充。


 その循環が、私の中で自然な手順になり始めていた。


 四眼の民へ戻るために必要なのは、勢いではない。


 壊して確かめた材料と、その結果を忘れない記録だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ