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230話 思うどち い群れてをれば 嬉しくもあるか

◇◇◇◇◇



「昔は賑やかだったんですがね…お恥ずかしながら…今はこの通り、妻と二人だけなんです」



ドワーフ夫は、自笑気味にポツリと呟く。


この過酷な地から同族は去って行ったのか?

はたまた、事故か何かで死別したのか?


ドワーフ夫の顔に落ちる影に…

リーンは気安く理由を尋ね難く、沈黙でやり過ごす。



「さぁさぁ!料理が出来ましたよー!

お客様のお口に合うか…本当に分かりませんが」



そう言って、ドワーフ奥方は明るい声で料理を次々と運んで来た。



「うわぁ!美味しそうだぁ〜!」



イルもまた、先ほどの重々しい空気を払拭するかのように、明るい声で答える。



「こんなに沢山…食べ応えがありますね」



オーフェンも尻尾をパタパタと振り、態度以上の喜びを表している。


兎肉と地下野菜の炒め物、キノコと光苔のソテー、蛇の煮込みスープに、蛇卵の燻製…

兎肉ハムと野菜のサラダ、芋粉のクレープ、サボテンの実のハチミツ掛け…


そこに地下ベリーの果実酒まで用意されていた。



「凄いな…こんな馳走を、用意頂けるとは」


「急ごしらえですがね…もっと時間があれば、

手の込んだ物を作れましたが」



リーンの感嘆に、奥方は恥ずかしそうに苦笑いする。



「充分ですよ〜!本当に美味しそう!」


「さぁさ!料理が冷めないうちに、お召し上がり下さい!」



イルが既にソワソワしてるのを見て、ドワーフ夫も食事を促す。



「いただきまぁす〜!」



イルは、野菜炒めを頬張りつつ、蛇スープの蛇の身を解してフィアロアに食べさせる。



「うむ、蛇も臭みが無くて柔らかいのぅ」



骨まで溶ける煮込みと、出汁が滲み出て…好き嫌いの多いフィアロアでさえ、舌を鳴らす程だ。


一方、オーフェンは蛇の燻製を口一杯に頬張り、手にはクレープとサボテンの実までスタンバイしていた。


オセは皆へ、水の手配や小皿を用意し、合間にサラダを口にしている。



「皆さま、良い食べっぷりで安心しました」



ニコニコと、果実酒をリーンのグラスに注ぎ入れ、ドワーフ夫は久々の賑やかな食卓を嬉しそうに眺めていた。


奥方は、皆の食べっぷりに歓喜し、

次の料理の仕込みに忙しい。



「ウチの連中が…遠慮無しに済まない…

数週間振りの料理で、タガが外れてしまっているようだ」



リーンは恥いるように、頭を下げる。



「とんでも無い!勇者様方を歓迎するのは一族の使命ですし…

何より…大勢で囲む食卓が本当に嬉しいのです」



ドワーフ夫の目尻には薄らと涙が光っていた。


この砂漠地下で、一体どれ程の時間をたった二人で過ごしてきたのだろう。



「おお!そうでした!

ドューイ様からお預かりしている…アーティファクトの話をしなければ…」



◇◇◇◇◇


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