229話 奥方の温かな手料理
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「まぁまぁまぁ!お客様なんて…生まれ初めての事だわ!」
ドワーフの奥方だと言う女性は、興奮気味に顔を綻ばせ、リーン一行を歓迎した。
余りに興奮したらしく、ドワーフ夫と同じく、
右往左往している。
「ああ…こんな散らかった家で…すみません!
お客様が来るなら、もっとお掃除しておけば良かったわ!」
突然の来客に慌てるのは、ドワーフ族でも地上の村人でも同じだと…リーンは微笑ましく感じる。
「急に…押し寄せて申し訳無い、どうか気を使わずに…」
リーンはそう、恐縮するが…
「あら、やだ…!でも、そうもいきませんわよ」
と、奥方は慌てながらも、楽しそうに動いているのを、止める事はできそうに無い。
「勇者様方、何も無い所ですが…どうぞこちらへ」
ドワーフ夫に促され、リーン達は座敷に腰を下ろす。
地下の空洞を利用したドワーフの家屋は、砂岩を形良く削っただけの、シンプルな造りだった。
家具や壺などは、かなりな年代物に見えた。
「このような、何も無い砂漠ですからね…
祖先の使っていた物を、今でも大事に使うしか無いのですよ」
手先の器用なドワーフは、大事に修繕しながら、物を受け継いできたのだろう。
「お口に合うか分かりませんが…」
奥方が、リーン達に茶を運んで来てくれた。
「あ…美味しいお茶だ〜」
「冷たい物ばかりでしたから、和みますね」
イルやオセは、温かく香ばしい香りのお茶を
しみじみ味わう。
奥方も、皆の反応にホッと胸を撫で下ろす。
「どうか、このまま夕食も召し上がって、いってください」
ドワーフ夫の提案に、リーン達は申し訳なく思いつつも喜び、受け入れる。
「もう、夕刻なのじゃな?
地下は、時間感覚が分からぬのぅ」
フィアロアも寛ぎ、茶を啜る。
「しかし…食糧は足りなくなりはしないか?
こんな人数で押し寄せてしまった、
無理はしないで欲しい」
リーンは眉を下げ、ドワーフ夫へ話し掛ける。
ドワーフの歓迎は嬉しいが…負担をかけてしまうのは、本意では無い。
「いえ!問題ありません!
地下にも育つ野菜はありますし…小動物も生息してるので、肉もあるのです」
ドワーフ夫は、食材のストックは充分にあると、話す。
「地下の小動物…?」
オセは首を捻る。
「はい、砂漠兎や蛇が狩れるのです…
割と美味いのですよ」
魔物以外の動物らは、地上では生きられない為、地下で生息できるよう進化していると言う。
「おお〜!食べてみたいなぁ〜」
イルも興味津々で顔を輝かせる。
オーフェンは、何も言わずだが…
小悪魔の尻尾がパタパタと揺れ、食べ物が待ち遠しいのだと、雄弁に物語っていた。
「妻も久々に、沢山料理を作れるようで、
張り切っています」
ドワーフ夫は、そう嬉しそうに語る。
「…そう言えば…」
リーンは首を傾げる。
ドワーフ集落…という割に、他のドワーフ達を見かけていない。
単に顔を出していない、という訳でも無いらしく…気配を感じ無いのだ。
「…他の…ドワーフ達はいないのか?」
リーンは率直にドワーフ夫に質問する。
その質問に、ドワーフ夫は俯き、
話し辛そうに、顔を曇らせる。
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