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227話 幸いの兆し

◇◇◇◇◇



ドワーフの男は、リーンを見るや、地面に伏せ

憧憬と畏怖の混じった面持ちになる。



「…どうやら、ここでもドューイから話は伝承されているらしいな…

ドワーフよ、そう畏まらんでくれ」



リーンが頭を上げる事を示唆すると、

ドワーフは、恐る恐るといった感じだったが、

面を上げる。



「はい…古の総頭領であられるドューイ様の事は、我らが代々受け継がれ、後世に残す任を課せられていましたので…」


「…じゃあ、やっぱりここにも…アーティファクトはあるの?」



イルの問いに、ドワーフは目を微かに瞠るが…

すぐに肩を落とし項垂れる。



「いえ…申し訳…ありません…

現在…アーティファクトは…喪失してしまいました…」



そう言って、ドワーフは悔しそうに、手を握り締める。



「この地方は…特に魔物が多いですし、

失くしたのは、様々な要因が考えられますね」



仕方ないとオーフェンは頷く。



「ドワーフよ、我々はアーティファクト目当てで来た訳では無いし、無くても責める気は毛頭無い」



リーンは穏やかに、ドワーフに向かい、

現在、困っている事を打ち明ける。



「故あって、この砂漠の先の…エルフの森へ向かう最中だったのだが…流砂に巻き込まれてしまってな、ここまで落ちてしまったのだ…

地上へ向かえる出口を探しているのだ」



リーンの説明を聞き、ドワーフは力強く肯首する。



「出口なら、お任せください!

ここから多少距離はあるのですが…案内しましょう!」


「良かった…!やはり出口はあるのですね」



オセも、胸を撫で下ろし顔を明るくさせる。



「ですが、数刻程は時間を要してしまいます…

その前にぜひ、我らの集落で休憩していって下さい」



ドワーフの厚意にリーン一行は是非もなかった。



「…では、甘えさせて頂こう」


「やったぁ〜」


「イル…こんな砂漠の中なんじゃから、

ドワーフとて、食糧など豊富では無いじゃろ」



イルの明るい声に、フィアロアは苦言を放つ。


実際、リーンらもそう感じているだろう。


地上は魔物が活歩する炎天下の世界だ。


交易など無いだろうし、狩りすらできそうに無い…



「わ、分かってるよ〜!でもお茶でもゆっくり飲みたいし〜」



イルは、バツが悪そうに目を泳がせる。


そんなイルの様子を見て、ドワーフは笑う。



「ははは、町のような贅沢な食べ物は確かにありませんが…何ぞ、腹を満たせる物なら多少ございますから」



そう言って、ドワーフはこの先の集落へ案内して行く。



◇◇◇◇◇

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