227話 幸いの兆し
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ドワーフの男は、リーンを見るや、地面に伏せ
憧憬と畏怖の混じった面持ちになる。
「…どうやら、ここでもドューイから話は伝承されているらしいな…
ドワーフよ、そう畏まらんでくれ」
リーンが頭を上げる事を示唆すると、
ドワーフは、恐る恐るといった感じだったが、
面を上げる。
「はい…古の総頭領であられるドューイ様の事は、我らが代々受け継がれ、後世に残す任を課せられていましたので…」
「…じゃあ、やっぱりここにも…アーティファクトはあるの?」
イルの問いに、ドワーフは目を微かに瞠るが…
すぐに肩を落とし項垂れる。
「いえ…申し訳…ありません…
現在…アーティファクトは…喪失してしまいました…」
そう言って、ドワーフは悔しそうに、手を握り締める。
「この地方は…特に魔物が多いですし、
失くしたのは、様々な要因が考えられますね」
仕方ないとオーフェンは頷く。
「ドワーフよ、我々はアーティファクト目当てで来た訳では無いし、無くても責める気は毛頭無い」
リーンは穏やかに、ドワーフに向かい、
現在、困っている事を打ち明ける。
「故あって、この砂漠の先の…エルフの森へ向かう最中だったのだが…流砂に巻き込まれてしまってな、ここまで落ちてしまったのだ…
地上へ向かえる出口を探しているのだ」
リーンの説明を聞き、ドワーフは力強く肯首する。
「出口なら、お任せください!
ここから多少距離はあるのですが…案内しましょう!」
「良かった…!やはり出口はあるのですね」
オセも、胸を撫で下ろし顔を明るくさせる。
「ですが、数刻程は時間を要してしまいます…
その前にぜひ、我らの集落で休憩していって下さい」
ドワーフの厚意にリーン一行は是非もなかった。
「…では、甘えさせて頂こう」
「やったぁ〜」
「イル…こんな砂漠の中なんじゃから、
ドワーフとて、食糧など豊富では無いじゃろ」
イルの明るい声に、フィアロアは苦言を放つ。
実際、リーンらもそう感じているだろう。
地上は魔物が活歩する炎天下の世界だ。
交易など無いだろうし、狩りすらできそうに無い…
「わ、分かってるよ〜!でもお茶でもゆっくり飲みたいし〜」
イルは、バツが悪そうに目を泳がせる。
そんなイルの様子を見て、ドワーフは笑う。
「ははは、町のような贅沢な食べ物は確かにありませんが…何ぞ、腹を満たせる物なら多少ございますから」
そう言って、ドワーフはこの先の集落へ案内して行く。
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