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216話 同じ想いの先に

◇◇◇◇◇



あのダークエルフの一件以来か…?

いや、日に日に…と、言った方がいいのか。


レイは、唯一安らげる自室の中でも、

何かを考えるように、表情を曇らせる日が多くなっていった。



『ねぇ、レイさん?

サボテンジュース飲まないの?温くなっちゃうよ?』



また虚空を見て考え事をしているレイを、シルフは揺り動かす。



「ん…?…ああ、アンタが全部飲んでいいわよ」


『ええー?ワタシ、こんな量は全部飲めないよ』



グラスの淵に手をついたシルフは、ジュースの中を覗き込む。


と、うっかり手を滑らせ、シルフはグラスの中へ落ちてしまう。



『キャア⁈ つ、つ、冷たぁい!』



ジュースの中で溺れるシルフを、レイは盛大なため息と共に摘み出す。



「アンタね…何やってんのよ?」


『…えへへ…甘くて冷たかったです…』



全身ずぶ濡れのシルフは、動物のように身震いし、水分を弾き飛ばす。



「ち、ちょっ!冷たいわよ!…もう!」



レイは文句を言いながらも、口角を上げ軽く微笑む。



『…レイさんの笑顔…久々見たかも…?』



シルフは、はにかみながらも嬉しそうに、

頬を緩める。


そんなシルフを見て、レイは一瞬目を瞠り、

そして困ったように苦笑いする。



「私は本来…笑顔を作るようなキャラじゃ無いのよ?」



その苦笑いは…やがて悲しそうな微笑みとなる。



「…ホント、アンタと居ると…飽きないわ」


『じゃあ、レイさんはワタシが居る限りずっと退屈しなくて済みますね!』



シルフは無邪気にそう言い笑う。



「そうね…ずっとこのままなら、いいのにね…」



シルフも頷く。


自分の立場を、使命を…

ほんの少し忘れていた。



砂漠の暑さでも溶けない、氷のようなレイの何かを…自分なら、少しだけ溶かせる気がして…


時折みせる優しさや、共に笑う日々は…


なんて甘いのだろう。

サボテンの実のジュースのように…



『ずっと、ずっとこのままで…』



シルフは何かに祈っていた。


それは神なのか?…それとも己を生み出した

存在に、なのか…


シルフとレイは…

この瞬間、同じ想いを抱き、願いを何かに委ねていた。



◇◇◇◇◇

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