216話 同じ想いの先に
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あのダークエルフの一件以来か…?
いや、日に日に…と、言った方がいいのか。
レイは、唯一安らげる自室の中でも、
何かを考えるように、表情を曇らせる日が多くなっていった。
『ねぇ、レイさん?
サボテンジュース飲まないの?温くなっちゃうよ?』
また虚空を見て考え事をしているレイを、シルフは揺り動かす。
「ん…?…ああ、アンタが全部飲んでいいわよ」
『ええー?ワタシ、こんな量は全部飲めないよ』
グラスの淵に手をついたシルフは、ジュースの中を覗き込む。
と、うっかり手を滑らせ、シルフはグラスの中へ落ちてしまう。
『キャア⁈ つ、つ、冷たぁい!』
ジュースの中で溺れるシルフを、レイは盛大なため息と共に摘み出す。
「アンタね…何やってんのよ?」
『…えへへ…甘くて冷たかったです…』
全身ずぶ濡れのシルフは、動物のように身震いし、水分を弾き飛ばす。
「ち、ちょっ!冷たいわよ!…もう!」
レイは文句を言いながらも、口角を上げ軽く微笑む。
『…レイさんの笑顔…久々見たかも…?』
シルフは、はにかみながらも嬉しそうに、
頬を緩める。
そんなシルフを見て、レイは一瞬目を瞠り、
そして困ったように苦笑いする。
「私は本来…笑顔を作るようなキャラじゃ無いのよ?」
その苦笑いは…やがて悲しそうな微笑みとなる。
「…ホント、アンタと居ると…飽きないわ」
『じゃあ、レイさんはワタシが居る限りずっと退屈しなくて済みますね!』
シルフは無邪気にそう言い笑う。
「そうね…ずっとこのままなら、いいのにね…」
シルフも頷く。
自分の立場を、使命を…
ほんの少し忘れていた。
砂漠の暑さでも溶けない、氷のようなレイの何かを…自分なら、少しだけ溶かせる気がして…
時折みせる優しさや、共に笑う日々は…
なんて甘いのだろう。
サボテンの実のジュースのように…
『ずっと、ずっとこのままで…』
シルフは何かに祈っていた。
それは神なのか?…それとも己を生み出した
存在に、なのか…
シルフとレイは…
この瞬間、同じ想いを抱き、願いを何かに委ねていた。
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