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213話 非常食は優雅な暮らし?

◇◇◇◇◇



シルフが通された部屋は…


牢屋でも、食糧庫でも無かった。


…神殿の中の一室、一際広く立派な部屋だった。



『ええ…⁈ ワタシに、こんな豪華な部屋を与えてくれるの?』



シルフは驚いて目を輝かせるが…



「バカね、違うわよ!」



レイは呆れ気味にため息を溢す。



『で、ですよ…ねぇ』



たかが、生捕りにされた非常食なのだから、

そんな待遇を受ける訳がない…


さすがのシルフも厚かましいと、苦笑いするのだが…



「ここは、アンタと私が一緒に暮らす部屋よ、

神殿の他の部屋は、生活には不便な造りなの」



シルフは、ポカンとする。


こんな広くて、調度品も立派なものが揃っている部屋に…居させて貰えるのか…?



「何よ?不満なの?」


「う、ううん…!…でも、いいの?」



シルフは困惑そうな表情で、レイを見るが…

レイはさっさと旅ローブを脱ぎ捨て、

長椅子に腰を下ろしていた。


パチンッ


同時に、レイが指を鳴らすと、シルフの周囲を囲っていた結界が消える。



「この砂漠の集落はさぁ?

娯楽が何も無いのよ…ダークエルフ達は堅物で面白くもないしぃ?

…だから、アンタは丁度いい娯楽なのよ」



レイから、非常食兼、娯楽要員呼ばわりされ

シルフは脱力する。



『ええぇ…ワタシは芸人とかじゃ無いんだけどなぁ?あ、でも大道芸とか覚えようかな?』



…などと、シルフは本気で考え込む。



「あははは!アンタやっぱ面白いわよ!」



レイは、思い切り笑う。



『………… 』



魔族でも、こんな風に笑うのか…


シルフは不思議な気分になる。


神から疎まれる存在、人間達の敵…

一般的に魔族とは、そんなイメージだ。



『…あ、でも…オーフェン様は味方かぁ…』



シルフは口の中で呟く。

魔族の中にも、良い人はいるのだ。



『この人も…もしかしたら良い人なのかもしれない…』



強大で、禍々しい闇の気配を身に纏っているけれど…


シルフは、この不思議な人物に親しみを感じ始めていた。



◇◇◇◇◇


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