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211話 非常食(シルフ)拉致られる

◇◇◇◇◇



強い光に照らされ、眩しさのあまり、

シルフは意識を浮上させた。



『…ここは、どこ?』



相変わらず、結界の中に閉じ込められていた。


しかし、時刻は昼を迎え、辺りは明るい。


…周囲に目を向ければ、見渡す限り一面の砂漠が広がっていた。



『言ったでしょ?家に帰るって!

もうすぐ着くわよ』



魔族は、砂漠の中を滑るように高速で移動していた。


シルフは改めて魔族を見る。


既に恐怖は限界突破し、今は寧ろ思考する事を放棄し、無となっていた。


強い日差しの中…暑くはないのか?

と思うほど、全身に闇色を纏う長身の魔族…


服装で隠してはいるが、かなりな筋肉質で、鍛え上げた肉体美の身体なのが伺える。



『何で…女っぽい言葉使いしてるんだろ?』



シルフは小さくポツリと呟いてしまった。



「うるさいわね!

身体は男でも、心は女でありたいのよ!」



魔族に独り言を聞かれた上に、

そう言い返されて、シルフはギョッとする。


しかし、それ以上に変な魔族だと感じた。



『えっと…ワタシも、精霊だから性別は無いの…

でも、気持ちは女の子なんだよ、

えっと、だから…気持ちはちょっと分かるよ?』



恐ろしい魔族と対話…

というのも異様かもしれないが…


シルフは、性別の事で偏見とかは無いのだと…

それだけは言いたかった。



「ふぅん…アンタも苦労してそうね」



魔族の低い声は…何故か今のシルフには、

何となく優しい声に聞こえた。



『ねぇ…?アナタは名前なんて言うの?』



魔族は片眉を上げる。



「アンタねぇ…食物の分際でヒトに名前を問うなんて恐れ知らずねぇ?」



シルフはビクリと体を揺らす。



『え…?知らない人に会ったら先ず名前聞くのが礼儀じゃないの?あ、ワタシはシルフだよ?』



この妖精は状況が分かっているのか?

単に頭が鈍いのか…


魔族は、ため息を吐く。



「まぁ…いいわ!

特別よ?…私はレイって言うの」


『ふぅん、レイさんね!よろしくね!』



シルフはニッコリと笑う。


捕らわれている…という自覚が薄れてきてるのか…?



「まったく…呑気なものねぇ?」



魔族…レイは呆れ顔に、笑みを仄かに浮かべた。



◇◇◇◇◇


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