209話 シルフの受難
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話はひと月程、遡る。
リーン一行が、リーダーと呼ばれる
冒険者の少女を保護し、
故郷の村へ送り届けていた頃…
一行が、すっかりその存在を忘れている
シルフは…
どうしていたかと、いうと…
『誰かあぁぁ!助けてくださぁいー!』
ダルム地方の荒野にある枯れ木に、
引っかかっていた。
魔物も闊歩する、危険な荒野だ。
滅多に人など、通る事は無く…
シルフは一週間ほど、枯れ木に縛り付けられたままだったのだ。
シルフとは、精霊に近い存在だ…
魂魄の根源が潰えない限り、栄養を外部から補わなくても存在し続けていけるのだが…
『このままじゃ…永遠に枯れ木と一緒になっちゃうか、いつか魔物に食べられちゃうですよぅ』
人間には聞こえない、
精霊の言語で泣き言を叫ぶ。
シルフにとっては、後者…魔物に食べられるのが最も恐ろしい事態だ。
『うぅぅ…リーン様に良い所を見せて、
迷子になった失態を帳消ししようと思ってたのにぃ…何でこうなっちゃったんだろ?』
いつも、ドジだとか、頭が緩いとか言われていたが…自分でも本当にそうなのだと、
シルフは自己嫌悪に陥っていた。
『リーン様…今頃、心配してくれてるのかな?
ワタシが魔物に食べられちゃったら…
泣いてくれるかな?』
そう思うと、シルフは悲しくて涙が止まらなくなっていた。
さめざめと涙を流していた、そんな時だった。
ザッ…と、近くで地を踏む音が聞こえた。
『…⁈ 』
人間か?…いや、
もう夜が来て、辺りも暗い。
こんな時刻に人など通るだろうか?
なら、可能性のもう一つは…?
考えたく無い事態が、シルフの頭を過ぎる…
『まさか…ま、ま、魔物…?』
ザッ、ザッ…
地を踏みしめ、歩く音が近づいて来る。
シルフは、音が近づくにつれ、震えが止まらなくなっていく。
本当に魔物なら…
『ワタシの旅もここ迄なんだ…!
リーン様あぁ…ランシェ様あぁぁ…!!』
恐怖で目に涙を溜め、
戦慄く唇で大好きな人達の名を呟き…
シルフは、足音のする方に目を向けた。
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