204話 フィアロアの魔法
◇◇◇◇◇
イルが振り返った先には…
「何⁈ 火の玉??」
リーンも思わず叫ぶ。
これまた、超巨大なウィルオウィスプが、
イル目掛けて突進して来たのだ。
「うわぁぁ⁈ 何で火の玉が砂漠に〜⁈ 」
「い、イル!逃げろ!」
ウィルオウィスプは、鬼火だ…
物理攻撃で止められるか…リーンは躊躇する。
「私が聖呪術で…って…あれ?
…蜂の毒素で手まで痺れて…⁈ 」
オーフェンは先の、蜂でのダメージで動きが鈍くなっていた。
火の玉は勢いをつけ、イルに迫る。
「こうなれば、我が間に入って……」
「…っ、オセ、少しエネルギーを貰う…ぞ」
リーンが火傷覚悟で、ウィルオウィスプの盾になろうと行きかけた刹那、
弱々しく小さな声が、オセを呼び、
そしてオセからエネルギーを吸収する。
直後…
ーー氷襲ーー
無詠唱での魔法が発動し、ウィルオウィスプを氷属性の魔法が蝕んでいく。
火の玉は完全に氷り、やがてパラパラと砕け、砂漠の風に流されていった。
「…魔法?…フィアロア!」
「はぁ、はぁ…っ…全く…イル…
もう少し周囲を警戒するの…じゃ」
フィアロアは、イルの背から気怠そうに体を起こしながら、力無く呟く。
「フィアロア様!お体は?」
オセも心配そうに、フィアロアの元に駆け寄る。
「うむ、涼しくなって大分、楽になってきた」
その言葉に、一行は安堵する。
「何はともあれ、良かった…
この地は本当に、油断ならんな…」
ため息を吐きつつも、リーンは警戒を怠らず、視線は周囲を見渡していた。
「フィアロア…ごめん…」
イルは泣きそうな顔で、背後のフィアロアを伺うも…
ゴチンッ…!
「痛ぁ!」
フィアロアは頭突きで、イルへの返事を返す。
「泣くでない!…みっともない」
「な、泣いてないだろ!」
「いや、グズグズじゃったぞ」
「はぁ〜?!」
二人の恒例の漫才が始まり…
リーンはホッとしたように、
珍しく笑いを溢していた。
◇◇◇◇◇




