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162/163

162話 え?絶対絶命かも?


◇◇◇◇◇



「さて…どうするか?」



イルは、ペンダントを意識しながら…使いどころを考える。



「イル、黒幕は…あの女では無さそうじゃぞ?」


「うん、彼女…ご主人様とか言ってたよね?

多分、そいつが…黒幕かな?」



町に、魔術による毒の雨を降らせたのも…恐らく黒幕の仕業なのだろう。


そして、アーティファクトを狙う悪魔を侍らせてるとなれば…


恐らく…その正体は…


イルとフィアロアが廃墟の奥を睨んでいると…


急に周辺の空気に冷たく寒気のする圧がかかり、

身体に重くのしかかる、威圧感を覚えた。



ビリビリと鼓膜が震える。



「…イル」


「ああ、たぶん…"コイツ"だね…

前に荒野で遭遇した上級悪魔より……強い!」



イルは奥を睨みながら、ニィと口角を上げる。


一方フィアロアはその瞬間、イルに警告する。



「イル!!ヤバい!退避しろ!」


「…え?」


「くっ…間に…合わない…か!…既に…術が……」



黒幕は未だ、現れてはいなかった…



だが…


その、気配を感じた瞬間には、既に…

「術」は成されていたのだ…!



「…儂らは…状態異常に…かかったようだ…」



もしも、フィアロアが完全体であったなら…

もう少し、早く対処はできてきたかもしれない。


更に、フィアロアもイルも、火力タイプだ


"この"タイプの敵への耐性は低く相性は悪い…


どのみち、仲間のサポートが無ければ苦戦していたかもしれなかったのだが…



「私の術に直前で気付いたのは見事だね?」



そう言いながら、その姿を遂に見せたのは…


頭に角を生やし、

蜥蜴の尻尾を持つ妖艶な女悪魔だった。



◇◇◇



目の前に悪魔がいる…!


だが、

イルとフィアロアは身動きが取れ無かった。


この目の前の悪魔の術中に嵌り、

強力な麻痺の術に陥っていたのだ。



「くそっ、麻痺か…もっと早くペンダント使うべきだったかな?」


「先に力を使ったとて…あのボス悪魔には逃げられていたと思うぞ?」



あの女悪魔…あれは恐らくサポートタイプの悪魔なのだろう。


火力は低いものの、ステルススキルを持ち、

己は隠れながら、敵を欺き…

状態異常術を使い、敵を陥れる戦術を得意とするタイプだ。


雨雲に毒術を施し…町全体に状態異常術を撒き散らしたのも…この悪魔の仕業なのだろう。



「ふん、あわやってところだったねぇ?」



女悪魔は冷たく処刑人の女を見下す。



「も、申し訳ございません…ご主人様…」



処刑人の女は震えながら平伏する。



「…まぁいい、この人間二人を囮に…

お前の言ってた怪力女を誘き出せばいい」


「はい…!」


「それより、お前達はアーティファクトの探索を始めな!町の人間達は弱りきっている。

今なら、脆弱なお前達でも町民を襲えるだろ?」



女悪魔が部下の悪魔共に放った言葉は、到底受け入れられないものだった。


やはり…あの雨はそれが目的だったのか!


イルとフィアロアは歯噛みする。


悪魔共を町へ遣る訳にはいかない…!

…とはいえ、

自身は体が動かせず…オセも倒れ伏している。


…リーンは…


もし、助けに来てくれたとて…この悪魔と戦えるのだろうか? 


もし…同じく状態異常の術にかかってしまったら…⁈



「う〜ん?…これって絶対絶命ってやつ?」



イルの呟きに、女悪魔は二人へ淫靡な目を向ける。



◇◇◇◇◇


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