161話 どっちが騙された?
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扇欲的な出立ちの女に誘われ、
イルは誘われるがまま、廃墟の内へ入る。
そこには、
数十以上の悪魔が集っていた。
やはり処刑人の女と悪魔は関係があったのだ。
そして、町に降らせた雨とも関連がある可能性が濃厚となってきた。
廃墟の薄暗い建物の中…
悪魔達の視線があるにも関わらず…処刑人の女は、
徐に下着のような、その衣装をイルの目の前で
ゆっくりと脱ぎだす。
以前、リーンにも衣装を裂かれた事があったが、
暗がりに僅かな蝋燭の弱い光りの中で見る素肌は、
以前以上に美しく妖艶だった。
下も覆っていない姿で女は、イルに近寄っていく。
「ねぇ?もう、ここでは邪魔がはいらないわよ?
坊やは…ここでお姉さんの、ものになるの…」
「………」
「ふふ…坊やが、アタシのものになったら…
お仲間さん達も、ここへ連れて来てちょうだいね?」
「………」
「アタシのご主人様が…君達を連れて来て欲しいと言ってるの…」
「………」
「アタシもね?ここでご主人様の虜になったのよ…?
坊やにも、同じ事してあげる…
…ね?一緒に闇へ堕ちましょう?」
処刑人の女は、そう言い寄りながら、
イルと唇を重ねようとしていた…
だが…
「この馬鹿白豚がぁぁ!!!」
物凄い勢いで走って来た小さな老人は、
走りながら、イルに飛び蹴りを炸裂させる。
「ぐあぁぁぁ、痛あぁぁぁ⁈」
「な、何??」
「この淫欲女がぁぁ!人のもの寝取るとはいい度胸じゃのぅ?楽に死ねると思うでないぞ⁈」
「ちょ…フィアロア!何で付いて来た?
てか、あんなの見ちゃダメですって言っただろ⁈」
「うるさい!裏切り者!仲間よりこの淫乱を取るのか⁈」
「いやいやいや!裏切ってないし!…あと、目に涙溜めて怒るのも止めて?辛い」
「……?…貴様…魅了術…効いてないのかの?」
フィアロアは目に涙を溜めながらキョトンと
イルを見つめる。
「いや…効いてたよ?…でもさ、僕はもう
心に決めた人がいるから、靡かないんだよねぇ
…色仕掛けには」
そう言いながら、イルはフィアロアを抱き上げ、愛剣を処刑人の女に向ける。
「この娘がなぁんか怪しそうでさ…?
悪魔やら、魔術の雨やらに…何か関連してるんじゃないかなって思ったから…
罠にハマった振りして付いてったんだよ!」
言いながらイルは容赦なく、処刑人の女へ剣を繰り出す。
「キャァ⁈ な、何?剣なんて…持って無かったじゃない…⁈」
イルの振るった剣の切先が、処刑人の女を掠める。
女は、堪らず腹部を押さえた。
致命傷にはならない程だが、
腹には薄く切り傷が走り、血が滴る。
イルは、その隙に後方へ移動し距離を取る。
処刑人の女、それと奥で蠢く悪魔の集団…
イルは考える…さて、どうするか?
己が今持つリソースだけで、どう切り抜けよう
…どう、守り切ろう?
「絶対、守り切るけどね」
フィアロアを抱く手に力が入る。
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