160話 リーンの涙と、フィアロアの怒り
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「アーティファクトが…無くなっている?」
それは、イル達の失踪と関連があるのか?
…それとも
リーンは、息を飲み込む。
唇がほんの僅かに震える…
それとも…あの小悪魔が…持ち去ったのか?
考えたくない思考がリーンの頭を巡る。
「小悪魔……?キサマが…持ち去ったのか?
…そうじゃないと…信じさせてくれ…」
リーンは、ぎゅっと目を瞑る。
瞼の裏には、小悪魔の笑顔が浮かんだ…
目の端から涙が滲む。
◇◇◇
処刑人の女に誘われ、ひっそりとした町中を歩く事、四半刻ほどは歩いただろうか。
辺りは暗さを増し、どこからともなく満ちてきた靄により、更に視界が狭くなっていた。
「この靄は…
気配消しの魔術から生み出されているのぅ」
イルを追って、尾行していたフィアロアは
周囲に、術による結界のようかものが施されている事に気付く。
これは、戦闘力の高い者が入ろうとしても、煙に撒かれ、追い出されてしまう効果がある術だった。
「この先にいる存在は…かなりの魔術の使い手か…それとも上級…以上の悪魔かもしらぬ」
フィアロアの眉間に深い皺がよる。
もしも自分の身体が、完全体だったなら…
絶対的な力で捩じ伏せられただろうが…
「ふん、儂がもし、本体の体だったなら…
あの女に誘惑に負けた時点で、イル諸共…魔法で塵にしてくれたわ」
フィアロアは…自身の手を見て苦悶の表情になり…
そっと、ため息を吐く。
「せめて、あの馬鹿…イルの魅了を解く事ができれば…
ペンダントの力で、状況を覆す事もできるかもしれないがのぅ」
処刑人の女から、投げキッスをされ、ニヤけるイル。
「いや、絶対に魅了を解いてやる!」
フィアロアはまた、ムカムカとした苛立ちを再燃させるのだった。
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