163話 裏切り者参上の予感
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「…ふん、
囮をただ…生かしておくのもつまらないねぇ?
…いっそ殺してしまおうか?」
女悪魔はゆっくりと二人の方へ近づいてくる。
「ああ、それとも…下僕にしてしまおうか?
魅了の術を施した後…快楽へ堕とせば…
身も心も忠実な私の下僕となるのさ…」
女悪魔は処刑人の女の体を引き寄せる。
「この娘も…今ではこんなに従順だが…
捉えた当初は激しく抵抗していたものだ…ふふ」
「ねぇ?貴方達も…一緒に混ざりましょ?
楽に…なるわよ…」
女悪魔と処刑人の女は口付けを交わしていく。
目の前で二人の行為を見せ付けられた
イルとフィアロアは…我慢の限界に達した。
「はぁぁぁ?!!」
「はぁぁぁ?!!」
「フィアロアに変なもの見せるな!!」
「イルを誘惑するでないわ!!」
二人はハモりながら動きだす。
「フィアロア!逃げるぞ!」
「うむ」
「な⁈ 馬鹿な…!私の術を…破ったというのか?」
女悪魔は驚愕する。
女悪魔にとっては…
かなり強力な術を施した筈だった。
それを、人間如きが破るというのか?…と。
だが…
動けてはいるものの…
二人は実は、術を破った訳では無かった。
「くっ…キッついなぁ〜」
イルは、息も絶え絶え…の様子だった。
本来なら指一本動かす事も出来ない程の強力な麻痺魔術が効いている筈だ。
…なのに…
「勇者舐めるな!
気力で何とかするのが勇者なんだよ!!」
彼らは爆論のみで動いていた…
…とはいえ、普段以上に体は重い。
どうみても、上手く走れていない状態だ。
「イル?ペンダントは使えそうか?」
「ん〜…ち、ちょっと厳しい…かも?」
それでも二人は、よろめきながら…
懸命に出口へと走っていた。
…そんな時だった。
出口を目指していたイルとフィアロアは、
出口を遮るように、人影が立っている事に気付く。
「え…?…あれ、は…」
驚き、動揺するイルとは逆に、
女悪魔は出口の人影を見て、口角を上げた。
「ほぅ?ようやく戻って来たか?我が下僕よ!」
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