129話 聖印の細工物
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よく見なければ、見逃してしまうだろう柱の中央には…指が引っかかるような窪みがあり…
そこへ指を引っ掛け手前引くと、柱の中からレバーのような装置が露わになった。
「むぅ?…これを引けば…いいのか?」
装置自体、前世の時代を生きたリーンなら、
割とよく見るような形ではあったが…
この世界では余り見ない仕掛けだけあって、
若干躊躇する。
リーンは、ドューイを思い出す…
(ドューイからドワーフ族へ技術が伝わったのなら…カラクリ仕掛けがあるのも理解できるが)
…だが、不思議な事に仕掛けを作れそうなドワーフはこの町には見かけた事はないのだが…
そんな考え事をしていたリーンを急かすように
小悪魔はリーンの袖を引く。
リーンも頷き、レバーを下げてみる。
すると、やはり柱の内部からカチリと仕掛けが作動する音が聞こえ…
やがて、噴水の水が徐々に引いていった。
「なるほど…噴水の水を止める仕掛けなのですね!」
オセも感嘆し、マジマジと見つめる。
水が止められた噴水の構造物の下方に溜まっていた水も排水されたようで、
やや深くなっている柱の底部分から、
再び扉になっているような、部分が現れた。
柱の上部の物とは違い、コチラは観音開きになっているようだ。
小悪魔はそっと手を伸ばす。
開いてみた柱の内部には、精緻に彫られた細工が美しい…何かの破片が嵌め込まれていた。
「それは…何だ?」
鍵にしては形が奇妙だし、エンブレムにしては形状が中途半端だ。
手の中で握れそうな、大きさのその細工物を小悪魔が取り出した時だった…
「…っっ!!」
その細工物を手にした小悪魔の顔が苦痛に歪み…思わず細工物を落としてしまう。
「どうした⁈罠でも仕掛けられていた⁈」
リーンも困惑し、身構えるが…
細工物は地面に落ち、カランと音を立てるだけで特にそれ以上の変化は無かった。
「リーン様、私が触ります」
リーンが細工物に触りかけるが…
オセが制し、先に持ち上げる。
すりと…
「…っっ!…くっ…これは…」
「どうした⁈やはり何か仕掛けか?」
小悪魔程では無いものの、オセもまた細工物に触り顔を歪めていた。
「…どうやら、聖なる印らしいのぅ」
そこへフィアロアが声を掛けた。
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