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127話 幻の焼き鳥屋


◇◇◇◇◇



…とはいえ、あの処刑人の女は厄介だ。


小悪魔を付け回したり、イルに色目を使ったり…

面倒な奴に目をつけられてしまったものだと、

一堂はドッと疲れを感じることになったが…


小悪魔の為にも探索を続けねばなるまい。


少し落ち着いたところで再び探索を開始する。



「やはり、先ほどの道にもう一度戻ってみるか」


「そうですね、見落としがあるかもですし…」



リーンの提案にオセも頷く。


女処刑人のせいで、時間をかなり割かれてしまったようで、陽は傾きあっという間に夕刻に差し掛かっていた。


焼き鳥屋の看板を探すべく、元来た道へ向かうと…

辺りから風に乗り、食欲を誘う匂いがしてくる。



「…あぁ〜〜!肉の匂いだぁぁ…」



イルは、クンクンと鼻をひくつかせ、

うっとりとした表情になる。



「この道に焼肉屋なんて、あったかのぅ?」



フィアロアは首を傾げる。

すると、オセは驚いたように指をさす。



「皆さん、見て下さい!あそこ…」



指したの方角には、焼き鳥屋の看板が…

そして、店先で焼き鳥を焼き、良い匂いを上げていた。



「…もしかして…」



リーンは前世の記憶を手繰り寄せる。


前世で様々にあった店屋の中には、昼間と夜では業種を変えて営業する店があった。


昼間通った時には、確かにここはパン屋だった筈なのだ。



「昼間と夜で切り替えて店を営んでいるのかもしれないな」



この刻限に通れた事が幸いだったと言えよう。


イルは後ろ髪を引かれる心地で、焼き鳥屋の角を曲がって行く。



「ねぇ、リーン様〜?帰りにあの焼き鳥屋で買って帰りましょう〜?」


「ああ、そうだな。

早く目的地に着いて用が済んだらな?」



リーンは苦笑いして頷くが…

フィアロアはイルの背中の上から、頬をつねる。



「ヨダレを拭けイル!

やはり豚だな?豚って肉食べるのじゃな?」


「誰が豚だよ!僕は人間だから肉が食べたいの!」


「あ!コラ!儂の腕に噛み付くでないわ!」


「むぐ〜!」



イルとフィアロアが戯れでいるのを他所に、

リーン達は先へ進むのだった。



◇◇◇◇◇


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