126話 魅惑の処刑人【挿絵付き】
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ニヤリと口角を上げ、
妖艶な色香を纏わせた処刑人の女は、真っ直ぐにイルの方へ歩いていく。
「お、おおぉ〜⁈」
「イル!何を見とる!この腐れ外道がぁ!」
女の際どい衣装に釘付けになるイルを、
フィアロアは怒り、頬を思い切りつねる。
「痛ででででっ!」
「あらぁん?乱暴ねぇ?
坊や、こっちいらっしゃいよ…アタシのがずっと優しいわよ?」
「お、お姉さん…」
「ええ、こんな仲間達よりアタシといれば…
楽しと思うのよぉ?」
処刑人の女はイルに手が届きそうな距離まで来たが…
しかし、不意に鋭い風圧が女の体を抜ける。
「隙あり、だな!」
リーンの杖が激しく唸り、女の衣服を斬り裂く。
「…え?」
身体には、痛みやダメージが無い代わりに、
処刑人の女の衣服が見事に斬り裂かれ…
イルの目の前で素肌が現わになった。
「フィアロアはダメ!見るな!」
その瞬間、はだけた姿を凝視するよりも、
隣りの老人に目をやった少年に、
処刑人の女はちょっとプライドを傷付けられる。
悔しいそうに、やぶれま衣服を手繰り寄せ、
…そして後退る。
「くっ…卑怯な…」
「他人の仲間に色目を使う女が何を言う?
…ほれ?そんな姿では人が寄ってきてしまうぞ?」
リーンは杖を大振りに振いながら、
女を遠ざける。
この騒ぎに…
近くを通る人々が徐々に注目しだしてきた。
辺りを見渡し、不利だと感じとった処刑人の女は、捨て台詞を残し逃げ去る。
「アタシは絶対諦めないからね!」
女が立ち去り、見えなくなった頃合いに
オセは一息吐き、苦笑いする。
「流石リーン様です!容赦がない」
「…余り褒められてるようには思えないがな」
見ていただけのオセが力不足だった、と言う訳ではない。
オセだけでなく、フィアロアやイルも…
自分らは強過ぎて手出しが出来なかったのだ。
加減を失敗すれば…
あの人間に重症を与えていたかもしれない…
中々"普通の人間"相手は対処が難しいのだと
オセは思うのだった。
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