125話 お姉さんは、イルが好み⁈
◇◇◇◇◇
「…とりあえず…道の真ん中で皆で立ちすくんでいても通行人の迷惑になりますし…
どこか広場に移動してから考えませんか?」
オセの提案である。
オセは魔の領域の魔獣だが、一行の誰よりも
常識人であった。
幸い、すぐ近くにほんの小さなベンチが幾つか並ぶ憩いの場があった。
買い物に来た住人が休憩する場なのだろう、
この時はベンチ周辺に人の姿はなく、
リーン達はこれ幸いと腰掛け、じっくり地図を見るつもりだった。
イルはいち早くフィアロアを横に座らせ、自分も休憩を決め込んでいた時であった…
突然の強い殺気に一行は総毛立つ。
反射的にリーンは、その殺気の来る方向へ
杖を出し、防御の構えをとった。
その殺気は、小悪魔を狙っていたようだった
…が、間一髪でリーンの構えた杖が小悪魔を守る。
ガシュッ!!
リーンの杖に衝撃が走る。
常人ならその衝撃に吹き飛ばされたり、杖を手放すだろうが…
華奢な見た目の清楚な聖女である筈のリーンは違った。
力強く大地を踏み締め、衝撃にビクリともせず、仁王立ちする。
「ふん…鞭の攻撃か?効かんな!」
言うが早いか、リーンは反撃を繰り出し
杖を振り被り、鞭の主へ詰め寄る。
「くっ…!非力なお嬢様じゃない…みたいね?」
鞭の主は…昨日広場にいた処刑人の女だった。
杖の一撃を辛うじて避けた女は、よろめきながらも体制を整え後退る。
処刑人の女を見た小悪魔は、酷く怯え…
リーンにしがみついていた。
「ふふっ…なぜ攻撃してくる?って顔ねぇ?
残念だけど、アタシはまだ諦めてないの!
…そこの悪魔を狩って名を上げるのよぉ!」
そして再度、小悪魔に鞭を向けるも…
リーンが小悪魔を脇に抱え回避する。
「邪魔しないでよぉ⁈
何で悪魔如きを守るのよ?意味分からない!」
「キサマこそ…こんな低級小悪魔を狩ったところで冒険者レベルが上がる訳ではないぞ?」
女は鞭を振り回し、それをリーンは軽くいなし回避する…そんな両者の攻防を、
イルとフィアロアはベンチで座りながら見ていた。
「フィアロア?飴いる?」
「うむ」
今、目の前で戦闘が繰り広げられているというのに…全く二人は呑気なものであった。
そんな二人を見て処刑人の女は目を吊り上げる。
「なんなのよぉ?アンタら?部外者面して?」
「え〜?だって僕達弱いし?
まだ冒険者レベル5なんだよね〜」
フィアロアの口に飴を入れながら、イルは平然と言う。
「は?レベル…5?
…ふぅん?…なぁんだ?まだ坊やなんだ?」
苛ついていた処刑人の女は一転して、
イルへ向け色香を放つ。
「…ねぇ?坊や?お姉さんが優しく…レクチャーしてあげようか?
こんな怪力女なんて捨てちゃってさ?」
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