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私の中の答え

 


 一連の事件がきっかけで……やっと確信が持てた。やっと見つけられた。

 ようやくはっきりした、私の中の答え。


 やっぱり私、好きなんだ……彼が。


 不恰好だけど根は真面目で。最初からちゃんとまっすぐに私を見ていてくれて。

 あの時の『事故』も……いきなりでかなり驚いたけど、嘘もごまかしもそこにはなかった。




 王子とかイケメン達にあそこまで会いたかったのは、なぜか。

 あんなに必死になっていたのは、なぜか。


 好みのタイプで眼福だから。良い声で耳が幸せだから。単純にやりとりが楽しかったから……それらももちろんある。


 ある、けど。

 やっぱりなにより一番は……()()()()()()()()()()んだ。

 それが私が望んでいた幸せの形だった。


 向こうの世界では……それは叶わなかった。

 昔からかなりの面食いで、好きなタイプじゃなきゃそういう目で見れなかった。

 だから好みの人しか見てなかったし、当然うまくいかなかった。一方的に追いかける恋ばかりだった。


 ゲームだったら、イケメン達が向こうからやってきてくれて無条件で愛してくれた……そういうシステムだから。

 私は何も考えなくてよかった。ただ外側だけ見て、薄っぺらい愛をだらだらと注いで……


 もちろん、今思えば各キャラのストーリーや彼らの背景描写はよく練られていて、あれはあれで見事なものだった。


 でも過去の私は、その上辺しか見ていなかった。




 そして、ここは現実。今のこの世界は私の現実。

 周りにいるのは生身の人間。


 人は見かけによらないもの。見た目だけでその人の全てを知るなんてできない。

 相手は今を生きる『人』なんだから。裏表だけじゃなくて色んな面がある。


 ゲームみたいに、この人は冷静だからクール系、活発でハキハキしているから熱血系、とか……作り物(システム)のそれらと違って、一言では表せない多面性。それが人間。


 だから見るのは……見なきゃいけないのは、その本質。もちろん、私も。




 この世界に来たのがきっかけなのかもしれない。

 むしろ、わざと私にきっかけを与えるために、神様とか誰かが呼んでくれたのかもしれない。


 ここにきてようやく、私は中身が見えるようになった。『人』を見れるようになった。

 ようやっと、目が覚めた。


 もう、私何歳だよって。随分と遅いお目覚めで……なんて、自虐。




 本当はあの『事故』からすでに幸せの第一歩が始まっていたんだ。

 タイミングはあれだったけど……でもそこにはちゃんと生の、本当の、気持ちがあった。


 いきなりぶつかってきた彼の想いの奔流と、驚きつつ内心密かにドキドキしていた私の心。

 本物の気持ちがそこにはあった。




 だというのに、それでも現実が見れなくて。さんざん神様から警鐘鳴らされて。

 それを不幸続きだなんだと嘆いて。


 相手の見かけがどうだとか、そんなのじゃなくて。

 ()()()()()()()()()()()そのものが、一番の幸せだって……自分の心とようやく向き合えた今、『私』がそう言っている。


 もちろん恋愛に答えはない。万人に当てはまるような絶対こう、ってものなんてない。


 でも、これが私の出した答え。




 ちょっと自分の想定から外れたからって勝手に悩んで、勝手に絶望して。

 見た目や外側にケチ付けてばかりで……その中身を、本質を、見ようともしなかった愚かな私。


 恰好は汚いけど、心の綺麗さや素直さが滲み出た素敵な笑顔の人。

 そんな彼のまっすぐな気持ちに気付いてなかった。そして同じく私の気持ちに気付けてなかった。

 一番大事なところが見えてなかった。


 ほんと馬鹿だなぁ、私。

 こんなに近くに幸せがあったのに。気づけなかったなんて。


 まさか両思いだったなんて……いや、両片思い?


 そんな事って本当にあるんだ。なんだかゲームのシナリオよりもこっちの方が作り話みたい。




 まぁ、とはいえ。彼に非が全然無かったかと言えば嘘になるけど。


 いきなり酔ってキスなんて色々飛ばし過ぎだし、場所もあんな場所だった訳だし。

 もうちょっと最初からまともな格好してて欲しかったなぁ……なんて。


 今となっちゃ笑い話だけど。惚れた弱みってやつ?




 あの後、まだ外は明るかったけどもう休むようにとレベッカさんに言われ、部屋に戻った。


 怪我はしてないし、全然まだ元気。そう思って、いざ部屋のベッドに横になると……

 異常事態の興奮で忘れていた体中の色々な感覚が一気に戻ってくる。


「いでででででで……!」


 我ながらひどい声だ。思わず出たなんとも情けない悲鳴。


 でも、そんな声がどうとか気にしてられないくらい、痛い。

 超痛い。えっなにこれ。


 凝りと筋肉痛で全身バッキバキ。

 どこもかしこも油の切れた機械のように軋んで、まともに動けない。


 目の前に集中しすぎて気付かなかったけど、長時間の緊張で力が入りっぱなしで体はもうヘトヘト……もう限界だった。


 私は、そのままベッドに倒れるように眠りに落ちていった。



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