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僕は殺されれば殺されるほど、強くなる  作者: 三毛猫乃観魂


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第八章 次なる邪怪魔王

 二体目の邪怪風魔王の元へ。

 代わり映えの無い景色の中を機馬で走り抜いて一昼夜、やっと森が見えてきた。

「あの森の奥にある湖が目的の場所だ」

 一旦、リデルは機馬を止めた。

「その湖にいるんだな、邪怪水魔王、ディーン・ネウが」

 不敵な笑みを浮かべるエデ。

 最初の討伐相手に邪怪水魔王、ディーン・ネウが選ばれた理由は、ただ単にオーガの町に一番近かったから。

 そこには邪怪五魔王は誰も彼もが強力な相手であり、誰を対処に選んでも強敵であると言うことは代わらないと言うことでもある。

 全員、気を引き締めて森に突入。


 しばらく森を進んでいると、先頭にいたシデルが機馬を止め、みんなに止まるように合図を出す。

 すでにエデは気が付いていた。翔もエデの視線の先を見て、

「うあっ」

 思わず声を出してしまう。

 真っ白い肌の色、ブヨブヨに膨らんだ体、斧を手に持つ土左衛門が何体も木陰から出てきた。本来の土左衛門と違うのは動いていること。

水怪(すいかい)、水死体から作られる化け物」

 機馬から降り、背負っていたライフルをぶっ放し、水怪の頭を撃ち抜く。

「倒し方は頭を破壊すること」

 水怪が倒れるのが早いか、エデとレジスタンスたちが機馬を降りて水怪の頭を狙って攻撃を開始。

「頭を破壊って、まるっきりゾンビじゃないか」

 本当にゾンビそのもの、噛まれたら自分も水怪になるかもと、警戒しながらも翔も魔導剣を引き抜き攻撃に参加。

 剣を持つ者は剣で銃を持つ者は銃でレジスタンスたちは水怪の頭を破壊。

 基本的に水怪は屍骸と似たようなもので、行動パターンも類似しているが、動きは鈍く、金属の歯や三枚刃かなどのギミックが無い。

 ただ見た目が不気味で気持ち悪くて、精神的に嫌な相手。

 翔は我慢しながら、斧の攻撃と噛まれたら水怪になるかどうかは解らないが、一応、警戒しながら戦う。


 見た目さえ気にしなければ屍骸よりも倒しやすい敵。銃で戦っているレジスタンスは遠距離で戦える分、つい翔は僕も銃を持ってくれば良かったなと思ってしまう。

 それなりに水怪の数はいたが翔とエデ、シデル率いるレジスタンスたちの活躍で労せず全滅させることが出来た。

 正し、これは前哨戦に過ぎないことは翔にも解っている。本命の敵はこの先の湖にいる。

 シデルは機馬に乗り、

「行くぞ」

 それだけ言って進む。

 レジスタンスたちは機馬に乗り前へ。

 少し遅れたが、翔とエデも機馬に乗り前へ進む。


 森の奥へ進むにつれ、奇妙な歌が聞こえてきた。いい歌と言えばいい歌なのだが、心地よさを感じさせない、そんな歌。

 湖が見えてきた大きな湖。中に裸の女性がいる、空色の肌は透き通っていて、半分、水で出来ている。歌はその女性が歌っていた。

「ディーン・ネウか」

 静かな口調でシデルが訪ねる。

 頷く空色の肌の女性、ディーン・ネウ。

「皆、避けろ」

「危ないぞ!」

 一早く、リデルとエデが気が付き、機馬から飛び降り回避行動を取る。

 ディーン・ネウから超加圧されて放たれる、幾つもの水の弾丸。

 超加圧水の弾丸の元になる水は湖から得ている、つまり湖がある限り、幾らでも撃てると言うこと。

 逃げ遅れたレジスタンスの何人かが撃ち抜かれ落馬、そのまま動かなくなる。

 何とか回避できたレジスタンスたちは戦闘に突入。

 起き上がった翔は額についていた水と血を拭き取り、魔導剣を抜く。

 ディーン・ネウは湖の中にいるため、接近が困難、必然的に遠距離攻撃に頼ることになる。

 シデルを始め銃を装備したレジスタンスたちが思いっきりぶっ放す。

 魔法を使えるレジスタンスたちも魔法で攻撃。火や風や雷や土の魔法を使う、ディーン・ネウは邪怪水魔王なので水の魔法は使わない。だつて効かなそうだもの。

 次から次へと放たれる超加圧水の弾丸を躱しながら、レジスタンスたちが攻撃を続ける。防御系の魔法が使える者は、魔法の盾を作りサポート。

 エデは魔導剣に炎の魔法を発動させ、超加圧水の弾丸を叩き切る。刀身の高熱に水の弾丸は蒸発する。

 今のところ、翔の出番なし。

 ダメージを与え続けディーン・ネウを満身創痍に追い込み、後もう少しで倒せるかと思った矢先、みるみる合間にディーン・ネウの傷が跡形もなく治ってしまう。

 驚愕するレジスタンスたちに、微笑みを浮かべるディーン・ネウ。

「怯むな、攻撃を続けよ」

 シデルの一括でレジスタンスたちは攻撃を再開。

 だが、どんなにダメージをディーン・ネウに叩き込んでも、あっという間に治ってしまう。

 このままではきりがない、これではレジスタンスたちも戦意が萎える。

 そんな中、翔とエデとリデルはディーン・ネウの回復のからくりに気が付く。

 傷を負う度、ディーン・ネウは湖の水を吸い上げ、半分、水で出来ている体を修復しているのだ。

 湖の水で攻撃、湖の水で攻撃で回復。これでは湖からディーン・ネウを引きずり出さない限り、勝ち目なし。

 何ともレジスタンスにとって不利すぎる状況。

 突然、湖から濃い霧が発生、周囲を覆いつくしてレジスタンスたちの視界を奪う。

 濃霧のため、ディーン・ネウどころかほんの2m先も見えない、戸惑っているレジスタンスたちを濃霧の向こうから放たれた超加圧水の弾丸が貫く。

 咄嗟に地面に伏せたエデ。

 エデに続いてレジスタンスたちも地面に伏せる。

「攻撃に回復、おまけに目くらましかよ。どうすればいいってんだ。ちくしょうめ」

 エデのぼやきはみんな同じ気持ち。

 地面に伏せた体制では超加圧水の弾丸を躱すことは出来ても、攻撃する術は無い。これではじり貧状態。

 ただ一人、翔は地面に伏せずに立ったまま。そんな翔に超加圧水の弾丸の集中砲火が直撃する。

 本来なら貫かれるどころか、ミンチになってしまう程、超加圧水の弾丸の集中砲火を受けたのにもにも拘わらず、翔が受けたダメージは鎧と服が破けたことと、全身が濡れただけ。

「そうか、翔の奴、耐性が出来ていたんだな」

 伏せながら、エデはニヤリ。

 既に翔は超加圧水の弾丸を額に食らい、一度死んで耐性が出来ていたのだ、もう二度と水の攻撃では死なない。

 濃霧の向こうでは、さぞかしディーン・ネウは驚いていることだろう。

 だが、こちら側も攻撃する術はない。

 翔は灼熱のブレスを放った。邪怪炎魔王ダマン・ラーサから会得した灼熱のブレス。同じく会得した超強力な炎の魔法も上乗せて強力無慈悲な炎を前方向へ放つ。


 超強力な灼熱のブレスと超強力な炎の魔法合わせ技は濃霧を消し去り、湖の水を蒸発させた。

 窪地となった湖。ディーン・ネウの力の源になっていた水は失われ、僅かな水は残っているものの、この量では攻撃にも回復にも使えない。

 ディーン・ネウ自身も弱り、蹲っている。

 弱っているかと言って情けを掛けられる相手ではない、魔導剣を構え、駆け出すエデ。翔も走り出して魔導剣を抜き放つ。

 殆ど無防備状態のディーン・ネウに魔導剣を突き刺し、炎の魔法を叩き込む。

 思いっきり翔は魔導剣で斬り、炎の魔法を発動。

 耳障りな断末魔の叫び声を開け、ディーン・ネウは絶命。


 翔とエデの前へ行き、

「感謝する」

 それだけ、リデルは告げた。一言だけだったが気持ちは十分に伝わる。その気持ちはレジスタンスたちの総意。




 邪怪水魔王、ディーン・ネウとの戦いでした。

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