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僕は殺されれば殺されるほど、強くなる  作者: 三毛猫乃観魂


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第九章 来訪軍

 ディーン・ネウを討伐した後は……。

 オーガの町に帰ってきた翔とエデ、シデルとレジスタンスたち。

 まず行ったのは犠牲になった者を弔うこと。

 町の広場に犠牲者を並べ、リデルが火をつける。これにはディーン・ネウ討伐に参加した者たちだけでなく、町の住人の大半が参加した。

 燃えて天に昇っていく犠牲者に対し、みんな黙祷。


 弔いの後、みんなはレジスタンスのアジトに集まる。

 レジスタンスの1人がやってきて、

「調べてきたところ、ちゃんと、結界の一つが消えています」

 と報告。

「そうか、あの者たちは無駄にはならなかったんだな」

 静かな口調でシデルは言った。

 ディーン・ネウが倒れたことにより、ベルトラーターの居城を護る邪怪五魔王の結界の一つが消えた。これで残るは三つ。

 一歩ずつ一歩ずつ、ベルトラーターに近づいている。

 そこへ外で見張りをしていた若いオーガが慌てた様子で駆け込んできた。

「こちらに武装した一団が向かってきています!」

 荒い息で捲し立てる、それは、それほどの事態だと言うことを意味している。


 ディーン・ネウを倒したことで刺客が差し向けられたのか? ここは、まだ敵には知られてはいないはず。

 リデルを先頭にレジスタンスたち、翔とエデが町の外へ急いで向かう。

 外に出てみれば若いオーガの言ったとおり、武装した一団がこっちに向かってきているではないか。

 迷うことなく臨戦態勢を取るリデルとレジスタンスたち。

 武装した一団を見た翔とエデ、

「「あっ」」

 思わず声を声を上げた翔とエデ。

 武装した一団の先頭を歩いていた人物が翔とエデの姿を確認した途端、駆け寄ってきた。

「エデさん、翔さん、どうして邪怪族と一緒にいるんですか?」

 一団の先頭を歩いていた人物、リックはリデルとレジスタンスたちを品定めするように見ながら、尋ねてきた。

 武装した一団、武形と各国の兵士たち。敵陣に飛び込み、戦う気満々で来た者たちが戸惑いを見せている。

「実はな――」

 エデは事情を話し始める。


「――そんな事情があったのですね」

 話を聞き終えたリック。

 話を聞いた各国の兵士の中には半信半疑に思っている者もいたが、

「目的は同じ、共に戦いましょう」

 あっさりとリックはシデルの話を信じ、彼女の手を握りしめる。

 リーダーのリックが信じた相手なら、各国の兵士たちも信じることが出来る。これまでの戦いの中、そこまでの信頼をもたらしていたリック。

 いきなりリックに手を握られたシデルの顔は思わず赤くなる。

「レディに対して失礼なことを、すいませんでした」

 慌てて手を放し、素直に謝罪。リックの頬も赤くなっている。

 リックとシデルの間に流れる、他人には踏み込めない領域。

 ゴホン、咳ばらいを一つしてシデルは領域を強引に消し去った。

「お前たちも疲れているだろう、町へ来るといい」

 気を取り直したシデルは、リックと各国の兵士たちをオーガの町に招待。

「リック王子、信じていいのでしょうか。彼女は、その邪怪族ですし……」

 おずおずと側近が話しかけてきた。主君としてリックのことは信頼していても、他者に対する猜疑心までもは拭いきれない男。

「心配はいらない、彼女が嘘を吐いているようには見えないのでね」

 リックも一国の王子、父のギュスターヴに化けていたベカケノを見破れなかった経験が、彼の人を見る目を大きく成長させた。


 オーガの町にやってきたリックと各国の兵士たち、武形は町の外で待機。

 町に入った当初こそ、武装していることやこれまでの経過でお互いが警戒をしている状況であったが、オーガの主婦たちがチョコレートとコーヒーを持って現れた。

 差し出されたチョコレートとコーヒーが食べ物であることは解ったものの、各国の兵士たちは手を付けることを躊躇。無理もない、邪怪族はこれまで戦ってきた敵、それに初めて見る食べ物、香りはいいけど。

 そんな中、リックが進み出てチョコレートを手に取った。側近は止めたが、かまわずに口に入れる。

「甘い、美味しい」

 もう一つ、食べる。

 それを合図にしたかのように、各国の兵士たちもチョコレートとコーヒーを口に放り込む。

 初めて味合うチョコレートとコーヒーを各国の兵士たちは絶賛、疲れた体に甘いもは活力を与えてくれる。

 ただ一人側近だけは食べず、どうやらオーガの町に居心地が良くない様子。

 今後の話をするため、翔とエデ、リックと各国の兵士の代表はレジスタンスのアジトへ。


 エデが驚いたように、各国の兵士たちもモニターに驚く。

「これは面白ですね」

 リックは驚きと言うより、興味津々。

 シデルは翔とエデに説明したように、モニターに地図を映し出し邪怪五魔王の結界のことを説明。

「つまりは後三体の邪怪魔王を倒さないと、ベルトラーターの居城には辿り着けないと言うことですね」

 リックの指摘にシデルは頷く。

「しかし、驚きです、もう邪怪魔王の一体を倒したのですか。流石がエデさん、翔さんです」

 素直に褒めるリック。

 リックだけではなく、各国の兵士の代表も尊敬の目で見つめられ、照れる翔とエデ。

「邪怪魔王は皆、強く油断の出来ない相手だが、一体ずつ確実に倒していく。幸い心強い戦力が、また増えた。これで次の作戦に臨める」

 翔とエデに続き、リックと各国の兵士たちが来てくれた。おまけに武形までいる。これはかなりの戦力増加。

「次に私たちが戦う相手は邪怪土魔王ゲ・モン。しかし、問題が二つある」

 リデルはモニターを操作、一つの町を映し出す、かなり大きな町。

「一つはゲ・モンがこの町にいることは解っているが、町のどこにいるかまでは掴めていないこと。もう一つはこの町はベルトラーターとゲ・モンを信頼しきっていること、それは、もう宗教に近い」

 それは喜んで邪怪族はベルトラーターに服従している邪怪族だということ、つまり敵側。

「なるほどねぇ、下手すりゃ、その町の住人全員と戦わなけりゃならなくなるかもってことか」

 エデに頷くシデル。それでもやることは変わらない、敵を倒すこと。

 幸い戦力は増えた、心強い戦力が。

「今、スパイを潜入させている。連絡が届き次第、戦いに向かう」



     ☆



 “スパイ”は町に潜入してから、毎日調べていた。一体、どこに邪怪土魔王、ゲ・モンはいるのか?

 町を歩くのは人間より一回り大きな筋肉質の体に緑色の肌、大きな鼻に手入れのされていない髪の毛、このものたちはトロール。

 朝になれば働きに出て、三食の食事を食べて夜になったら寝る。そこはあまり、人間の生活とは変わらない生活。

 ただ、違うのは……。

 黄昏時、屋根の上から“スパイ”は見ていた。

 町の住人、トロールが外へ出てきて、ゾロゾロと町の奥へ進んで行く。

 身軽に“スパイ”は屋根伝いにジャンプして、トロールたちの後を追う。

 トロールたちは岩山の前まで来ると、その場にひれ伏、

「ベルトラーター・ツペシュ・フーン様! ベルトラーター・ツペシュ・フーン様! ゲ・モン様! ゲ・モン様! ゲ・モン様!」

 と拝み始める。

 “スパイ”は岩山を見上げる。

『あの岩山……』

 流石に調べに行くまでは出来ない、“スパイ”は潜入や調査は得意だけど、戦闘は苦手なので。



 リックと各国の戦士たちが仲間になりました。

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