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僕は殺されれば殺されるほど、強くなる  作者: 三毛猫乃観魂


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第十章 奇岩

 ゲ・モンとの対決。

 一羽の白い鳥が飛んでいた、一生懸命に羽根を羽ばたかせ、飛んでいる。

 やがて目的の町を見つけた。

 道を歩いていたシデルの足元へ白い鳥は降り立つ。

「お前は」

 白い鳥を抱き上げ、耳元に近づけると、語り掛けてきた。

 ベルトラーターとゲ・モンを崇拝しているの町に潜入しているスパイからの連絡。

 すぐにレジスタンスと翔とエデ、リックと各国の兵士たちに召集を掛ける。


 皆がアジトに集結するなり、シデルは話を始めた。

「町に潜入しているスパイから連絡があった。およそではあるが、ゲ・モンの潜んでいる場所が解ったらしい」

 おおっとレジスタンスたちから、声が上がる。

 細かい説明を始めるシデル、みんなは黙って聞く。

「この情報をもたらしてくれたスパイは、今も敵陣の中にいる。見つかれば命は無いだろう」

 敵も馬鹿ではない、ダマン・ラーサとディーン・ネウが倒された今、間違いなく、警戒している。

 仲間の命は守りたい。今すぐにでも、行動がしたい。

 誰も彼も反対する者は無し。

「そうですね、私も守れる命は守りたい」

 リックも賛成の意を示す。国の兵士たちも誰一人、文句は言わなかった。ただ一人、側近だけは不服そうだったが。

「では、出発は明後日、各自、怠ることなく、準備をしていてくれ」



 明後日、町の入り口に集まる翔とエデ、シデルとレジスタンスたち。リックと各国の兵士たち、武形たちが加わったことで戦力は増加。

 リックと各国の兵士たちには機馬が貸し与えられる。武形たちは徒歩、それでも十分に早いし、疲れることも無い。

「出発」

 シデルが機馬を走らせ、その後ろを全員が着いていく。



 途中、二泊して翔とエデ、シデルとレジスタンスたち。リックと各国の兵士たち、武形たちはスパイとの待ち合わせの場所である小屋の前にやってきた。

 シデルの話では、スパイは既に来ているはずなのにどこにも見えない。

 各国の兵士たちが周囲を見回してみても、屋根の上に猫が一匹いるだけ。

「スパイはどこに?」

 兵士の1人がシデルに尋ねた。

「ここにいる」

 声のした方向にいたのは屋根の上の猫。

「スパイはボクだよ」

 屋根の上から、猫が飛び降りる。

 驚く翔、驚く各国の兵士たち。異世界でも人間の世界では猫は喋らないのが普通。

「ボクは猫のミコン、レジスタンスのスパイだよ」

 可愛い顔で、にゃ~んと一声鳴く。

 確かに猫ならばスパイとしては持ってこいだろう、どの町にもいるしどこにでもいる。見かけてもさほど警戒なんかしやしない。身は軽くて素早い、ジャンプ力は高く高所から飛び降りても平気。狭い場所にも簡単に入っていける。

 万が一怪しまれても、ゴロゴロ喉を鳴らして足にすりすりすればごまかせる。

「ゲ・モンの居場所に見当がついたと、連絡が来たが」

 それが一番肝心。いくら猫でもスパイだとバレる可能性はある。

 ミコンは頷き、町のトロールたちが岩山を崇め、ていたことを話す。

「それは確かに怪しいな」

 シデルだけでなく、話を聞いていた者の殆どの感想。何もないのなら、崇めなんかしないし、おまけにベルトラーターやゲ・モンの名前を連呼していた。

「取り合えずは、町の近くまで行こう」

 それがシデルの判断、反対する者は無し。


 町の近くまで来た時、すぐに異変に気が付いた。

 町が騒がしい、何か揉め事が起こっている模様。状況からして、かなりやばそう。

 翔とエデ、シデルとレジスタンスたち、リックと各国の兵士たちは顔を見合わせる。

 町に近づきすぎるのは危険だが、この位置からは何が起こっているのか解らない。

 全員が意識を確かめ合い、さらに近づくことを決めた。


 1人のコボルトが4人のトロールに囲まれている。

「お前、スパイだな」

「こそこそ、探りを入れやがさて」

「私はただの行商人です、探りを入れるも何もお客様のニーズに答えるために好みを聞いただけで……」

 何とか身の潔白を証明しようとするが……。

「ディーン・ネウが倒されたことは知っているんだ」

「邪怪族のくせに、ベルトラーター・ツペシュ・フーン様に逆らう愚か者め」

 トロールたちは全く聞く耳を持たない。

「ゲ・モン様には指一本、触れさせやしねえぞ」

 トロールの1人が棍棒を振り上げ、コボルトの頭目掛けて振り下ろす。

 あんな力で振り下ろされた棍棒を頭に受けたら、間違いなく砕けてしまう。

 この光景を見た途端、エデ、シデルは機馬を加速させ、村に突入。

 すぐに翔、レジスタンスたち、リックと各国の兵士たち、武形たちが後を追う。

 いきなり駆け寄ってきたエデ、シデルの姿を見た棍棒を振り上げたトロールの動きが止まる。

 シデルが背負っていたライフルを取り、発砲。頭を撃ち抜かれ、棍棒を振り上げた耐性のまま、トロールは倒れる。

「テメー」

 エデ、シデル目指して残り3人のトロールが襲い掛かる。残されたコボルトはその場にへ垂れ込む。

 エデは機馬の上からジャンプ、空中で魔導剣を抜き、着地と同時に3人のトロールを斬る。

 異変を察したトロールたちが、次から次へと家から飛び出してきてエデ、シデルに一斉に遅いんんった。

 そこへ到着した翔、レジスタンスたち、リックと各国の兵士たち、武形たちがトロールたちに突撃。

「今のうちに、逃げろ」

 シデルに言われた行商人のコボルトはあたふたしながら、町から逃げ出す。


 加速して、真っ先にトロールに攻撃したのは武形たち。

 続けざまに攻撃を繰り出したのは魔法と銃の遠隔攻撃を得意とする者。この者たちは機馬の上から降りることなく攻撃を続ける。

 近距離攻撃が得意な者はこの合間に機馬の上から降り、トロールに立ち向かう。

 週も参加、魔導剣を抜き、トロールに斬りかかる。


 振り下ろされる棍棒を最前列にいた武形が盾で受け止め、チェーンソー大剣でトロールを斬る。

 後方にいる魔法と銃を得意とするレジスタンスたちと各国の兵士たちが攻撃。

 怯みを見せたトロールへ、近距離が専門の翔とエデ、レジスタンスたちと各国の兵士たちが攻撃。

 元々仲間同士の連携は出来ていたレジスタンスたちはともかく、各国の戦士たちはレジスタンスたちの連携は初めてなのにうまくいっている。


 どんどん倒れていくトロール。一方、トロールの攻撃は武形の盾で防がれてしまう。

 見れば立っているトロールは1人だけ。

 脱兎のごとく逃げ出すトロール。

 逃がすのもかと、レジスタンスたちと各国の兵士たちは追う。

「ゲ・モン様~」

 と叫びながら、トロールが目指しているのは岩山。

 やはり、ゲ・モンはあの岩山にいるのか?

 うまくすればトロールが“案内”とてくれるかもしれない。

 翔とエデ、シデルも追う。


 走りながら、トロールは叫ぶ。

「ゲ・モン様~助けてください!」

 その時、予想外のことが起こった。岩山が揺れ動き、頂上近くで二つの裂け目が現れたと思うと、ゆっくりと開く。

 そこにあったのは目、頂上近くに現れた目は周囲を見渡す。

 現れたのは目だけではない、続いて鼻と口が現れる。

 岩を撒き散らしながら岩山から腕が伸び、ゆっくりと立ち上がる。

 そこにいたのは全身が岩でできた巨人。

「ゲ・モン様~」

 歓喜の表情を浮かべ、岩の巨人に駆け寄る。

 この岩の巨人こそ、ゲ・モン。

「岩山に潜んでいたんじゃねぇ、岩山そのものがゲ・モンだったのかよ!」

 つい大声をあげてしまうエデ。


 動き出したゲ・モンの巨体。その迫力、一歩歩くごとに地響きが聞こえてきそう。

「ゲ・モンさ――」

 ゲ・モンが跳ね飛ばした岩にあたり、折角生き残ったトロールは死んでしまう。

「あっ」

 声を漏らすゲ・モン。どうやら、意図的にやったことではない様子。

 問題はその巨体、接近戦どころか近づくことさえ危険。

 銃を使うレジスタンスたちや魔法を使う各国の兵士たちが果敢にも攻撃するが、巨体に固い岩の体に全くダメージを与えられない。

 レジスタンスたちと各国の兵士たちは踏み潰されないように、逃げるのが精一杯。

 両手を天に向け、ゲ・モンは手を挙げた。

 すると、凄まじい勢いで石の雨が降ってくる。その勢いは、まるで弾丸。

 躱し損ねたレジスタンスたちや各国の兵士たちは絶命。

 翔も全身を貫かれる。激痛なぞ越えるレベルの衝撃、死の淵を垣間見るものの、例のごとく、救に復活。

 魔法を使う兵士たちが傘のように魔法の防壁を張り、石の豪雨を防ぐ。

 ゲ・モンに跳ね飛ばされた岩がシデルの頭に当たりそうになる。

「はっ!」

 間一髪、ジャンプしたエデが岩を真っ二つにする。

 真っ二つになった岩はシデルの左右に落ちた。

 「助かった、感謝する」

 素直に感謝するシデル。

 何とかゲ・モンの攻撃を避けることは出来てはいるが、逃げ回るだけでは埒が明かない。かといって、あの巨体、どうやって倒せばいいのやら。

 ほぼやけくそで魔法を使う兵士が炎の魔法を放つが、岩の体の表面を焦がすことすらできず。

「あっ」

 天啓のごとく、翔にゲ・モンの倒し方が思い浮かぶ。


 迫りくるゲ・モンの前に一人、翔は立つ。

 翔の能力を知っている者たちは何をしようとしているのかは解らないが、希望と期待を持つ。

「何だ、お前」

 その巨体に相応しい声、足を上げ踏み潰そうとする。

「はっ!」

 気合とともに炎を放つ。ダマン・ラーサから会得しただけあり、炎はたちまちゲ・モンの全身を包み込む。

 やったとレジスタンスたちや各国の兵士たちが思ったのもつかの間、ゲ・モンの笑い声が響き渡る。

「この程度の炎で、儂を倒せると思ったか?」

 全身を炎で包まれながらゲ・モンは翔を踏み潰そうとする。

 逃げる翔、踏み潰そうとするゲ・モン。ゲ・モンはでかいが、動きが鈍いので逃げることは難しくはない。

 それでも、体力には限界がある。限界が来てしまえば……。

 レジスタンスたちや各国の兵士たちが不安に思う中、いきなり、翔は立ち止まり、ゲ・モンを見上げる。

「思っていないよ」

「?」

 翔が放ったのはディーン・ネウから会得した水の魔法。大量の水をゲ・モンの頭上から、降り注がせた。

 熱した石に水をかけるとどうなるか……。

 ゲ・モンの岩の体に罅が入る。

「ぶぁかなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ、おぉぉぉれつぁまの体かぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 罅は全身に広がっていき、ついに砕け散る。


 絶叫共に砕け散ったゲ・モンが岩の体が散らばる。

 レジスタンスたちも各国の兵士たちも旨く逃げれて、誰も当たらずに済む。

 ホッとした後にやってきたのは邪怪土魔王、ゲ・モンを倒したと言う事、勝利の歓喜。

 でも、表立って喜ぶものはいなし。異変を察知したトロールたちが家から出てきたのだ。

 バラバラに砕け散ったゲ・モンの無残な姿を見たトロールたちは放心状態。

 ここはベルトラーターとゲ・モンを崇拝している町。今は放心状態だが、そこから抜けたらどんな行動を起こすのか。

 敵はベルトラーターと邪怪五魔王であり、この町のトロールたちも同じ邪怪族。正直な気持ち、これ以上、無駄な争いは避けたい。

 トロールが放心状態のうちに、翔とエデ、シデルとレジスタンスたち、リックと各国の兵士たちは撤退することにした。




 スパイは猫でした。


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