第十四章 ラスボスバトル! 邪怪魔帝王ベルトラーター・ツペシュ・フーン
ベルトラーターとの決戦になります。
数々の強敵を倒し、邪怪五魔王の結界を破り、ついにここへやってきたベルトラーターの居城。
見るからに禍々しい城で、入ることすら躊躇してしまう。
心なしか、空さえも淀んで見え気温も低く感じる。
「注意しろ、来るぞ」
シデルが機馬から降り、背負っていたライフルを構える。
禍々しい城から、わらわらと屍骸の群れが近づいてくる。人間を改造したものだけではない、邪怪族を改造したものまで。
翔とエデ、レジスタンスたち、リックと各国の兵士たち、獣人たちも機馬から降りる。
シデルが引き金を引く、先頭にいた屍骸の頭が撃ち抜かれ、それを合図に翔とエデ、レジスタンスたち、リックと各国の兵士たちも各々の武器を手に持ち、獣人たちは自分の爪を武器に屍骸の群れに向かう、恐れることなく。
いの一番に前線に出たのは今回も武形たち。元々、武形は対屍骸用に開発された機体、例え邪怪族が混じっていても、そのことは変わらず。
前線の武形たちは次々と屍骸を倒していく、おまけに盾役もこなす。
武形たちが討ち漏らした屍骸は翔とエデ、レジスタンスたち、リックと各国の兵士たち、獣人たちがが倒していく。
今や屍骸では群れであろうが、翔とエデたちの敵にはならない。あっさりと倒すことが出来た。
弄することも無く屍骸を全滅させたと思われたが、地面から黒い霧が発生、屍骸の遺体を包み込んでいく。
黒い霧が離れると、そこにあったはずの屍骸の遺体は消えていた。
全ての屍骸を包み込んだ黒い霧は一つに集まり、大きな黒い霧になる。
黒い霧が晴れた時、そこにいたのは巨大な屍骸、全身が歪で視覚的にもよろしくない。
歪んだ口が開かれる。翔とエデ、シデルとレジスタンスたち、リックと各国の兵士たち、獣人たち、ここまで来ただけあり、自然に体が動く。
巨大屍骸の口から吐かれる液体、直撃を受けた岩がドロドロに溶ける。吐かれたは強力な溶解液、当たったら人間なんてひとたまりも無いだろう。
殴り掛かって来る巨大屍骸。全員が躱すことが出来たが、あの巨体から繰り出されるパンチが地面を陥没させる。
レジスタンスたちも攻撃、遠隔剛撃で牽制している間に直接攻撃。巨体な分、動きが鈍く当たりやすい。
「私たちも負けていられないぞ」
リックの掛け声とともに各国の戦士たちも攻撃を開始。レジスタンスたちに倣い魔法による遠隔剛撃で牽制しつつ、直接攻撃。溶解液とパンチの攻撃が来たら、即時回避行動。
獣人たちも持ち前の牙と爪を使い、素早い動きを生かして攻撃する。
「たあっ」
「おらおらおらおらおらっ」
翔とエデの息の合った魔導剣攻撃。
巨大屍骸が倒れ、全く動かなくなる。
巨大屍骸が機能停止していることを確認し、
「配下のばかり戦わせ、本人は何もしない。これがベルトラーターのやり方か」
居城を睨みつけるように、シデルが言い放つ。
「邪怪魔帝王って名乗っているから、どんな奴かと思ったら、ただの臆病者かよ」
エデも煽る。
突然、笑い声が響き渡った。耳ではなく、直接、頭の中に。
『よかろう、ここまでたどり着いた貴君たちを称え、我がもとに招待しようではないか』
翔とエデ、シデルとレジスタンスたち、リックと各国の兵士たち、獣人たちの視界が暗転。
翔とエデ、シデルとレジスタンスたち、リックと各国の兵士たち、獣人たちの視界が回復した時、荘厳だが天井も床も丸い柱もベールも黒い色合いで、何か黒い気持ちにさせる部屋の中にいた。
「ようこそ、愚か者たちよ」
声がした方向にいたのは、玉座に座る漆黒のローブに紫のマントを纏った初老の男。パッと見は普通の人間だが、放つ雰囲気は人間の物ではなく、異質な物。
「儂が邪怪魔帝王ベルトラーター・ツペシュ・フーンである」
ついに目にすることとなったベルトラーター、放つ雰囲気異質な物であるのも納得。
こいつが正真正銘のラスボス。翔とエデ、シデルとレジスタンスたち、リックと各国の兵士たち、獣人たちは気を引き締めて戦闘態勢を取る。
これから、始まるのは最終決戦。
「せっかちな奴らよな」
低く笑いながら、余裕綽々で玉座から立ち上がる。
「次元転移」
ベルトラーターが唱えた瞬間、空間がぐにゃりと歪む。
歪んだ空間が戻った時、そこは今までいた場所とは違っていた。ただ広くて黒い空間、まるで夜の広場、そうとしか表現が出来ない場所。
夜と言っても灯りはあるので暗さは無いのに気持ちが暗くされられる、そんな空気が漂う。
「さぁ、始めよう」
一歩前にベルトラーターが進み出たのを合図に、真っ先に武形たちが突撃をかます。
軽くベルトラーターが手を動かしただけで、武形たちがふっ飛ばされる。
次にレジスタンスの銃撃と戦士の魔法攻撃、遠隔攻撃を放つが、全くダメージが与えらない。
ベルトラーターが人差し指を立て、手を上から下に振る。
すると、遠隔攻撃を打ち出したレジスタンスと戦士が床に叩きつけられ、そのまま押し潰された。
獣人たちが俊敏さを生かし、牙や爪を使い攻撃。
ベルトラーターは獣人たちが俊敏さをものともせず、1人で全員の攻撃に対応してみせ、カウンターで叩き伏せてしまう。
続けて向かってきた俊敏さとパワーを兼ね備える熊獣人の振り下ろされた拳を掴んで止め、もう片手の手刀突き一つで腹を貫く。
熊獣人の遺体を投げ捨てたベルトラーターに、シデルがライフルを発砲。
飛んできた弾丸を指先で摘まんで止める。
「!」
驚くシデルに、ベルトラーターは指先で弾丸を弾き飛ばす。
「危ない!」
咄嗟にリックがシデルを庇う。
「うっ」
肩を押さえ、蹲るリック。
「リック!」
慌てて様子を確かめる。
「心配ありません、肩に当たっただけです」
命には別状はないようだが、それでも痛そう。
リックとシデルに、更なる攻撃を咥えようとしたベルトラーターの背後から、翔が斬りかかる。
ひょいと躱し、
「お前が邪怪五魔王らを倒した奴だな。ならば、とっておきで殺してくれようぞ」
翔の腹に掌を当て、闇の魔法を打ち込む。
瞬間、翔の体が木っ端微塵に吹っ飛ぶ。
床に落ちる翔の魔導剣。
これまで何度も死ぬ度に復活してきた翔。たが、原型が残らないまでに木っ端微塵にされてしまっては……。
「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉったれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
何度もエデが魔導剣で斬りつけるが、その全てを人差し指と中指の先で軌道をずらし、一太刀も当てさせない。
闇の魔法を纏った蹴りを間一髪、エデは後ろに飛んで躱した。
エデたちの攻撃が全く通らない。勝ちを誇り、微笑みを浮かべるベルトラーター、なす術が全然、見いだせず。
魔法を使う各国の戦士たちが一斉に放つものの、ベルトラーターに命中する寸前、捻じ曲げられてあらぬ方向へ飛んで行く。
「さて、そろそろ、飽きてきたので終わりにしようかのう」
大技を出そうと、ベルトラーターが両手を前方に出す。
やばい、誰も彼もがそれが理解できた。魔法を使えるものは防御壁を作り出し、全員が回避行動を取る。
笑い声を上げたベルトラーター、攻撃が防ぎきれないのは火を見るよりも明らか。
絶体絶命と思われた矢先、
「次元転移」
唐突に声が響き渡り、空間が歪む。
気が付けば元の玉座のある部屋に戻っていた。
「これは一体……」
何が起こったのか? 今回はベルトラーターも動揺し、出そうとしていた大技も消えている。
「次元転移したんだよ」
そう言ったのは翔、木っ端微塵体にされても復活。身に着けていた装備は無くなっているけど。
それを見たエデは嬉しそう、少し涙も出ていた。
「やっぱ、お前はすげえよ、翔」
袖で涙を拭う。
「バ、馬鹿な、どうして生きておるのじゃ!」
この反応をみて、ベルトラーターが翔の能力を気付いていないことが判明。
「あの場所はベルトラーターのような闇の者が無敵になる、闇の空間なんだ。闇の空間にいる限り、ベルトラーターには勝てない」
ベルトラーター無敵のからくりを暴露。
「なるほど、だから次元転移でこの場所に戻したのか」
その通りなシデルの判断。ここならばベルトラーターは無敵ではない、ライフルの照準を合わせる。
「何故、その事を知っている! 何故、儂と同じ力が使えるのだ!」
動揺するベルトラーターの顔には、先ほどまでの余裕はない。
この千載一遇のチャンスを見逃すエデではない、魔導剣に炎風水地雷、全ての魔法を注ぎ込み。投げつける。
動揺していたベルトラーターは避けることが出来ず、魔導剣は腹部に突き刺さり、注ぎ込んだ全ての魔法を体内でぶち撒ける。
血を吐くベルトラーター。へしゃげ異音たてなからも武形たちは走り、四方から攻撃。
半分、壊れているような武形、闇の空間でなくても、本来ならば簡単に避けることが出来たが、腹に受けたダメージが大きすぎて避けることが出来ず、四方からのチェーンソーソードを突き刺さった。
さらに武形たちは自爆。至近距離だったことでもろにダメージを食らう。
今だとばかり、シデルがライフルを発砲。続けさまにレジスタンスたちも発砲。
魔法を使う各国の戦士たちが一斉に魔法を放つ。
立て続けの攻撃、全ての攻撃が命中。
さらに獣人たちの俊敏な牙と爪による連続攻撃。闇の空間とは違いカウンターどころか対応することも出来す、めった打ち。
「おのれ……愚か者ども……めがっ」
ふらふらの満身創痍状態なのにベルトラーターは倒れず、尚も闇の魔法を放とうとする。
魔導剣を拾い上げ、翔も炎風水地雷、全ての魔法を注ぎ込み、ベルトラーター十文字に切り裂く。
「そうか、そうだったのか、解ったぞ、それがお前の“力”なんじゃな……」
腕を伸ばし翔を掴もうとするが、その前に力尽きる。
「すばらしい、“力”。もし生まれ変わることが叶うなら、儂もその“力”を……」
ついにベルトラーターは倒れ、その体は灰のようになって崩れ去った。
ついに倒したラスボス。
話はまだ続きます。




