表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は殺されれば殺されるほど、強くなる  作者: 三毛猫乃観魂


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/25

第十三章 前夜

 最終決戦前夜の話の短い章になります。

 翔とエデ、シデルとレジスタンスたち、リックと各国の戦士たち、そして獣人たちがシビク・ハンを弔う。敵としてではなく、好敵手(ライバル)、一人の戦士として。


 調査の結果、ベルトラーターの居城を護る最後の結界が消えていることが確認された。それはつまり、ベルトラーターの居城に殴り込めると言う事。

 だが相手は邪怪五魔王を束ねる邪怪魔帝王、楽に勝てる相手ではないの確認するまでも無い。

 アジトに集まる翔とエデ、レジスタンスたち、リックと各国の戦士たち、獣人たち。

 静かにシデルは皆の顔を見回す、一人も見逃すことなく。

「次の戦いはベルトラーターとの決戦になる、今まで以上に厳しい戦いになるだろう。皆の命の保証は出来ない。参加するかしないかはみんなの意思に任せる。じっくり考えて決めてくれ、勿論、参加しなかったからと言って、咎めるつもりはない」


 解散の後、レジスタンスたちの中には家族の元へ帰った者も、この者たちには守るべき者たちがいる。各国の戦士たちの中にも家族を残してきた者たちがいる。大切なものを守るため、この世界へ来た。

 そんな各国の戦士たちを束ねるリックに、

「すまないな、巻き込んでしまって」

 シデルが話しかける。

「巻き込まれたわけではありません、私も皆も自らの信念でここへ来たのです。まぁ、当初とは違ったものになりましたがね」

 少し照れくさそうなリック。元々、邪怪族は全てが敵と思って来たのに、今はこのような形になっている。

「正直、リックたちが来てくれて助かっている。来てくれなかったら、こんなに早くここまでは来れなかっただろう」

 寄り添うリックとシデル。

「夜空の月と星は、世界が違えでも駆らないのですね」

 リックは夜空を見上げる。

「そうなのか。なら、リックの世界の夜空を見てみたいな」

 シデルも夜空を見上げた。

「そうですね、ベルトラーターを倒し平和になったら、是非とも人間の世界に来てください、共に見ましょう」

 下心など微塵もない、純粋な思い。

「必ず、一緒に見よう」

 リックの思いを真正面で受け止める。


 一人翔は家族のことを思い出す。父さん、母さん、妹、凶悪な暴力で奪われた大切な家族。

 今でも、略奪者に対する憎しみは残っていると言えば残っている。でも今は……。

「よう」

「エデさん」

 後ろから、話しかけてきたのはエデ。

「お前はこの世界とは関りが無い、それでも戦うのか?」

 頷く翔。

「生まれた世界てなくても、守りたいものは守りたいんだ」

 異世界とはいえ、守りたいものが出来た。今はそれが一番大事、不当に奪われる痛みを知っているだけに。

「そうか」

 エデはそれだけ言って、翔の頭を撫ぜた。


 彼女であるオーガのキリポを大きな樹の下に呼び出した、若いオーガのラグフ。

「もうじき、俺はベルトラーターの戦いに赴く」

 キリポはラグフがレジスタンスであることを知り、それを受け入れて恋人関係になっている。

 静かにキリポは話を聞く。

「今のうちに言っておきたい、帰ってき――」

 言いかけたラグフの口をキリポの人差し指が止めた。

「その続きは帰ってきたときに聞くわ」

 今さっきまで出かかった言葉をラグフは飲み込んだ。

「そうだな、必ず帰ってきて、その続きを言うよ」

 ラグフはキリポを抱きしめる、二人だけの時間が過ぎて行く……。


「ただいま、今、帰ったぞー」

「おかえりー、パパ」

「おかえりなさい」

 娘のミミィと息子のトミィが出迎えてくれる。いつも通りの父親の帰宅、いつもと違うのは父親のザファーが荷物を持っていること。

「今日はお土産を買って来たぞ」

 子供たちにお土産を渡す。ミミィには縫いぐるみ、トミィには木製の剣。

「これ、欲しかったの」

「ありがとう、パパ」

 子供たちは大喜び、そんな子供を笑顔で見ているザファー。

「何やってんだい、ご飯は出来てんだよ、早く食べないと、冷めちまうじゃないか」

 母親のマミが大きな声をかける。

「私、お腹ペコペコ」

「僕もだよ、ごはんごはん」

 子供たちははしゃぎながら、食堂へ。

 ザファーも食堂へ、マミとすれ違う時、二人の顔は真顔になる。


 夕食後、並んだベットの上でスヤスヤ仲良く眠っているミミィとトミィの姉弟を見ているザファー。

「あなた、行くのね」

 話しかけてきたマミに頷く。

「もし、俺が帰ってこなかったら、俺の代わりに子供たちを――」

 パァァァァァン、軽い音が響く。マミがザファーの頬を叩いたのだ。

「えっ?」

 状況が掴めないザファーの胸にマミは顔を埋める。

「私にはあなたの代わりにはならない。帰ってきて、必ず、帰ってきて」

 ザファーの服を掴む手に力が籠められる。

「解った、必ず、帰って来る」

 マミを強く抱きしめる。



 出発の日、翔とエデ、レジスタンスたち、リックと各国の戦士たち、獣人たち、来なかったのは側近ただ一人。どうやら、邪怪族世界の状況に耐えきれず、帰ってしまったらしい。

「これより、我々はベルトラーターとの決戦に向かう。皆の命、私が預かる、責任をもって」

 深々とシデルはお辞儀をする。

 翔とエデ、リックと各国の戦士たち、レジスタンスたち、獣人たちは黙ってみている。

 頭を上げるシデル。

「私はここに誓う、必ず勝利をして、自由と平和を掴み取る!」

 シデルは拳を掲げ、

「そうだ、我々は勝利をして、自由と平和を掴み取るぞ!」

 続いても翔とエデ、リックと各国の戦士たち、レジスタンスたち、獣人たち拳を振り上げる。


 町の外へ集まる武形と機馬に跨る翔とエデ、レジスタンスたち、リックと各国の戦士たち、獣人たち。

「出発!」

 の掛け声でシデルは機馬を走らせ、その跡を翔とエデが続く。




 フラグが折れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ