はじまる
しかし、この位置に鏡を飾っているなんて変わっている学校だな。
階段の踊り場に鏡をかけているのはわかるが、階段を登りながら鏡を見る奴はいないだろうに何故ここに。
まるで、僕がここで階段から落ちるのがわかっていて
落ちていく自分の姿を見せるためにここに飾ったのではないかとさえ思えてくる。
鏡に映る自分が「自分の死に様見とけよ」って笑っているように見えたのは一瞬で、
僕の足元に人影が現れた
と思ったら、目の前に影が現れた。
・・・・・女の子?
人影の正体は女の子だった。
落ちていく方にバンザイする格好で両手を伸ばしながら女の子も僕同様に円弧軌道を描いて落ちていく、いや、僕の落ちる速度よりも速く落ちていく。
一瞬捕らえた彼女の表情は、とても真剣だった。
・・・なにが起きているのかわからないうちに、鈍い音がした。
僕はずっと目を開けていたつもりだったのに
知らないうちに目を瞑っていたらしい。
目を開けると、階段と廊下の堺の天井が見えた。
どうやら、生きているようだ。
体も痛いところがないし、大丈夫そうだ。
頭も痛くない。頭の下に何か柔らかい物があって無事だったようだ。
いや、頭だけでなく背中当たりまでに何か柔らかい物がある。
それが、緩衝材替わりになったんだな。
・・・・柔らかい物?
慌てて体を起こすと、落ちていく途中で見た鏡に写っていた女の子だった。
落下した時の衝撃でか、頭がぼんやりしていて
何故この子が僕の下敷きになっていたのか理解できなかった。
少ししづつ頭が冴えてきて、僕の下敷きになって守ってくれたんだと状況を理解した。
しかし、
理解したはいいが
女の子は目を閉じたまま、目を開けない。
息はしてるようだけど・・・。どうしよう。




