にあです near death
今 思えば、あの時の自分はよく頑張ったと思う。
あの時は、今よりも身体がうんと小さくて
女の子と同じぐらいの身長か、もしくはそれよりも低かったか。
それに女性の方が体脂肪率が高いと聞くし、
自分の体重と同じ重さか、それ以上の重さを背負って
階段を下り、長い廊下を歩き続け、保健室まで運んだのだ。
その男気に賞賛を送りたい。
しかし、
あの時 全集中力を手の触感に集中し、
彼女の太ももの肌触りを覚えていてくれたらよかったのに
・・・なんて思わずにはいられない。
保健室まで、数人の生徒とすれ違ったが
恋人同士がイチャついているように見えたのか
痛いものを見る目で見てくる。
と、その時は思っていたが
今 思うと、当たり前だが彼女は制服のスカートを履いていた。
その彼女の太ももを持ち上げ、おんぶしてる。
つまり、
彼女のスカートの中が見えていたのかもしれない。
自分が情けない。彼女に申し訳なくなる。
もし、すれ違った生徒たちが彼女のスカートの中を拝見していたならば・・・・
・・・・羨ましい・・・・・・というのは、嘘・・・・・・じゃない
谷口は自分のほっぺをつねった。
僕のえっち!馬鹿!バカ野郎! と心の中で自分を罵倒した。
保健室に着いたと同時にチャイムが鳴った。
保健の先生に事情を話し、彼女を預ける。
彼女がベットに寝かされたときに初めて彼女の顔をちゃんと見た。
すやすやと、安らかな寝息をたてていて安心した。
保健の先生いわく「脳震盪じゃないか」と
「あなたはどこもぶつけてない?」と聞かれ「ぶつけてないです」と僕が答えると
授業始まってるし、教室に戻りなさいと追い出されてしまった。
保健の先生はどこか焦っている様子だった。
気になった。
気になって、教室に戻っても授業の内容なんて一切入ってこない。
授業が終わりのチャイムが鳴ったのを確認すると、
僕は授業終わりの号令をするのも待たずに、走って保健室へ向かった。




