Prologue
Time is money制度の導入により、日本はその姿を変えた。
高校への進学率は四割に低下し、殆どの人々が中学を卒業した時点で、就職する。
大学の進学率は一割に低下し、点々と大学は消えていった。
この変化もTime is money制度によるものだった。
Time is money制度を使うことにより、社会に必要な知識を殆ど手に入れる事ができ、天才と言う言葉は消え失せた。
その代わりに莫迦はまだ、存在していた。
貧しい者はTime is money制度を活用できるわけがなく、そんな頭の悪い者を雇う会社など無い。
金がある者はどんどん伸し上がっていき、金が無い者は永遠と底辺を迷う。
分かりやすくはあるが、平等と言うものは消え失せた。
いや、未だに平等を訴える者もいるが、その全ては底辺を迷う者ばかりである。
そんな底辺を永遠と迷う部類に入る人間が一人。その高校に進学した。
都立の有数の高校の一つである高校。その名は東啓高校。
東啓高校は日本では一つしかない、“ある学校”である。
それは銃の射撃などの対人兵器の訓練がカリキュラムに入れられている学校である。
しかし、その授業以外での銃を所持するのは原則として禁止されている。
そんな学校に真新しい制服を着た一人の男子生徒が校門で立ち止まった。
ここで……ここで、俺は勉強を頑張るんだ!
これからの高校生活に希望と不安を抱えた男子生徒はその足を一歩一歩、ゆっくりと動かしていき、校門を跨いだ。
そんな自分の世界に入っている男子生徒を見て、くすくすと笑う周りの生徒とその親達。
「ほら、あんた何、突っ立ってんの? 早く行くわよ」
「……はい」
恥ずかしそうに顔を赤らめながら、他の生徒たちと同様に歩き出す男子生徒。
そして、案内表示に従って体育館へと向かうと、そこで資料を貰い自分のクラスを確認する男子生徒。
「五組かぁ……」
クラスは全部で五クラスであった。これもTime is money制度が生み出した変化の一つであった。
それから、少年は長々と校長の話やら、学校の説明やらを聞かされた後、各教室へと移動し、そこで担任と初めて顔合わせをする事となる。
男子生徒は教室を見回してみた。
まだ……何も分からないな……
すると、男子生徒の方を見る一人の人物と目が合った。
あっ! 拓也じゃん。
男子生徒が拓也と呼んだ人物は男子生徒と同じ中学に通っていた少年だった。
同じクラスかぁ……
早くもラッキーと思った少年は担任による話を軽く右から左に流しながら、学校を終えた。
この学校に入学した事。
それが、少年にとっての――――全ての終わりで全ての始まりだった。




