社長Be
「私は――――死神なの」
俺は言葉を失うのと同時に目を大きく見開かせて、一言。
「嘘……だろ……?」
死神? ありえない。何? 死神って……なんだっけ? やべえ! 動揺しすぎて分からなくなった。あれだよな。死神って角と尻尾があって……――ってそれは悪魔だろ! 死神。しにがみ。シニガミ。SHINIGAMI。
「嘘だと思うでしょ?」
「いや、当たり前だろ……現実感無さ過ぎ……」
「それが嘘じゃないのよねー」
真剣な眼差しから普段どおりの軽い顔に変わる女。そんな軽く流していい話じゃねえだろ!
「それで、お前が死神なのと……知恵を与えてきたのに関係はあるのか?」
自分でも思った。冷静な質問だ、と。
「関係があるのよ。死神って魂を喰らうって聞いたこと無い?」
ああ……そう言えば、死神はそんなんだったっけな?
俺は微妙に頷いた。
「それで、魂を喰われた人間の体はどうなると思う?」
魂が無いんだろ……?
「……植物人間?」
「そう。そんな状態になってしまうわけ。で、私達はそんな魂の無い体に魂を入れてあげるの。この世で十分に生きることの出来なかった魂を」
ふーん……
俺はいい話だと思った。だが、話の流れだと、俺は――――
「――俺の魂は?」
「死のうとしてたんだから、いいでしょう?」
そりゃあ、いいけど、死ねなかったのもまた、事実だ。
「まあ……いいけど……」
少し、躊躇いはある。
死んだらどうなるかなんて誰もわからないしな。けど、こいつにはまあ、お金持ちにしてくれた恩はある。そいつの頼みごとなら、受け入れるしかないだろう。
「あなたって、良い人ね」
そう言って微笑む女。
「そう言って何も抵抗せずに受け入れてくれたのはあなただけよ。すごいことだわ」
「いや、俺はただ、もう、人生に疲れてたし、死んでも良かったんだ」
「……ありがとう」
「こちらこそ」
女はゆっくりと俺のほうへと近づいて、
「さようなら」
と言ったその後――
――俺の意識は消え去った。




