社長Li
俺は救世主になれたのだろうかと疑問に思うが、答えはすぐに出てくる。Noだ。俺は救世主になれてはいない。ただの社長だ。
しかも、その会社を乗っ取って社長になったクソ野郎だ。
「で、本当に俺は救世主になれたのか?」
自分ではNoだが、俺の目の前にいる女に聞けば、違う答えが返ってくるのかもしれない。
「ええ。あなたは救世主よ。日本を救う事になる救世主」
未来形って言うのがなぁ……また、実感が湧かない。そして、俺は女に一番聞きたかったことを尋ねた。
「さて、約束どおり、俺はTime is money制度を創り上げた。そろそろお前の正体を俺に教えてもいいんじゃないのか?」
女は思案する素振りを見せてから、
「ええ。いいわ」
と言葉を続けた。
「ニュートンの万有引力。最近で言えば、青色のLED。この世の天才による発明は全て、私が授けたものだといってもいいわ」
「は?」
この女……何を言っているのかがさっぱり分からない。
「だーかーらー! この世の天才たちが生み出したものは全て、私によって創り出されたものだといっても過言じゃないのよ!」
こいつ……まさか――――電波!?
「ご愁傷様です」
「何によ!」
「あなたのその思考回路に」
「失礼ね。私の思考回路はまだ、死んでないわ。それに考えてもみなさいな。私はあなたの頭の中に声を掛けられたし、Time is money制度を創るための知恵も与えたわ」
まあ、それはそうだが、信じられるか? ニュートンが生きてたのなんて何十年前の話? いや、何百年? 良く分からん!
「……えーと……それでお前の正体って結局、何なわけ?」
そう。そこが聞きたいのだ、俺は。
「うーん……言ってもいいのかしら……」
さあ。俺に言われても知るわけがない。だが、俺は言って欲しいけどな。
とは心中で思うだけで口には出さなかった。何故なら、女は本気で悩んでいるようだったからだ。
「まあ、時期も時期だし、もういいのかしらねぇ……」
一人出そう呟いた女。そして、その眼は真剣な眼差しへと変化した。
緊張が走り、俺は唾をごくりと音を立てて呑んでしまう。
「私は――




