11/35
救世主H
救世主……?
俺はその足を止めた。そして、女の顔を見た。
女はにこりと微笑む。
「救世主。その言葉は好き?」
救世主……誰だって主人公になりたい。漫画のようなアニメのような主人公になりたい。
そんな願望を抱くのは当たり前の事であり、目の前の女はそんな救世主――主人公に俺がなれると言っている。
「どうやったら……なれる……?」
救世主……そんな女の言葉を信じて、俺は自殺をやめるのか……? いや、賭けてみてもいいんじゃないか……?
「簡単じゃ。お前が望めば、いいだけだからのう……」
俺が望めば……?
「冗談だろ……?」
「冗談じゃ。望むのは誰だってできる。じゃが、お前にはそれが第一関門」
第一関門ねぇ……
俺はその関門を超えてはいけない一線と予想した。
それを超えて、目の前の女に騙されるか。巨万の富みを得るか。ここで飛び降りるか。だったら――
「――望んでやるよ! 救世主になりたいって!」
女は笑みを浮かべた。
「フフッ……よく決断したのう。これで晴れて、第一関門突破じゃ。で、その次に第二関門じゃが、金を全て使い、わしが言ったところの株を買え」
せっかく決断した心がすぐに歪んだ。
「おい……俺はお前を……本当に信用してもいいんだろうな……?」
「勿論じゃ」
信用できそうにねぇぇぇぇえええええ!!!




