2話
「⋯見つけた⋯」
小さく呟き、足を止める。
他に人の気配はない。
ゆっくりと近付く。
「っ⋯!?お前⋯!?」
ふいに振り返った男が、慌てて逃げ出す。
それをゆっくりと追い掛ける。
追い詰められた男が壁に背中を預け⋯
「お前、何で⋯こんな⋯」
「お前が⋯⋯⋯殺したんだろ⋯」
「俺が誰を殺したって!?お前が俺を殺そうとしてんだろ!?」
男の焦ったような怒鳴り声が、静かな路地裏に響く。
思わず、笑みがこぼれる。
「何笑ってんだよ!?」
男は怒鳴り続けている。
その声を掻き消すように、持っていた鎌を振り上げる。
一瞬で静まり返った路地裏を、ゆっくりとした足取りで立ち去る。
「今日も、狂いはない⋯」
「なぁ、今朝のニュース見たか!?」
「何のニュース?」
「この辺りで起きてる連続殺人だって⋯!」
「⋯見てないけど⋯」
「昨夜、4件目が起きたんだけどさ⋯どうやら、俺らと同世代らしいぞ?」
「⋯そうなんだ⋯」
「まぁ、偶然の可能性もあるだろうけど⋯お前、誰かに恨まれるような事してないか?」
「⋯どうだろう⋯?」
僕の返事を聞いて、同僚が笑い出した。
「そこは、大丈夫って言い切れよ!お前みたいに人当たり良い奴が、恨まれるわけないだろ?」
「⋯そういうお前は?恨まれるような事してない?」
「俺は大丈夫!」
「⋯凄い自信だね⋯」
「まぁ、俺も人当たり良い方だし?」
「⋯まさか、お前じゃないよね?」
「⋯何言ってんだよ?俺なわけないだろ?」
「⋯そっか⋯」
事件の話をこんなに明るくするのは、不謹慎じゃないだろうか⋯
そう思いながら、僕は空を見上げる。
いつもと変わらない朝だった。




