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軽口ひとつで、人は死ぬ  作者: みやび68


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1話

「はぁ⋯はぁ⋯はぁ⋯」


薄暗い路地。

急くような足音が止まる。

そして、壁に背中を預け⋯

弱々しく、首を振る。


「⋯お願い⋯助けて⋯」


震える声が小さく響く。


ゆっくりと近付く足音が止まり、次の瞬間⋯

路地裏が、一瞬で血の海と化した。

そして、ゆっくりと去ってゆく足音。

何事もなかったかのように、静かに闇へと消えた。

その場には、動かない影だけが残った⋯




会社に向かっていると、同僚が声を掛けてきた。


「おはよう!今朝のニュース見た?」

「おはよう。ニュースって何の?」


僕はにこやかに挨拶を返した。


「何のって、この辺りで起きてる連続殺人だよ。昨夜も被害者が出たって⋯怖いよな〜」

「⋯そうなんだ⋯怖いね⋯」


一瞬反応に困ったが、すぐに平静を装う。

同僚はそんな僕を気にしていないように、話を続けた。


「これで3件目だろ?目撃者も証拠も見当たらないって⋯おかしいと思わないか?」

「⋯まぁ、目撃者は居ないにしても⋯何か証拠くらい見つかりそうだよね⋯」


僕の返事に、同僚は大きく頷いた。

だけど、それ以上事件の話をするつもりはないらしい。


僕は、内心で小さく息を吐いた。

正直、あまり気分のいい話ではない。

朝くらいは、もう少し穏やかに過ごしたい。


同僚と何気ない会話をしながら、空を見上げる。

いつもと変わらない朝だった。

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