第九話 異世界ラジオ開局!初回放送は…
「異世界ラジオ開局特番!
愛を語れ!魔界から生放送スペシャル!
supported by 王国広報局ーーッ!!」
♬(番組TM:『HEART STATION』 / 宇多田ヒカル)
(※勇者心の声:午前0時ではありませんけれども)
「みなさまこんにちは!
そして電波の向こうのみなさま、いかがお過ごしかしら?
本日のパーソナリティは、わたくし——王妃ですわ♡
もちろん、“生放送”でお届けしておりますの!
しかも、魔界から!」
鳩:クル〜(記録:王妃、電波を完全掌握)
「生放送て!? やめて!事故る!絶対事故るから!」
「……余も嫌な予感しかしない」
「て言うか、スポンサーいる!? クレームこない!?」
鳩:クル〜「スポンサーは王妃様ご自身です」
「自腹!? じゃあ止められないじゃないですか!」
「ふっ……完璧な布陣だな」
「さて、この番組は——“王国に愛を、魔界に電波を”をテーマに、
王国民と魔界民の心をつなぐ、“愛”の生放送でございますの♡」
鳩:ポ〜(記録:王妃、企画名からしてカオス)
「そのテーマおかしいでしょ!? しかも魔界に電波届くんですか!?」
「……余が中継塔を建てた」
「えぇぇぇ!?」
「では、そろそろ本日のスペシャルゲストをお呼びいたしましょう!」
「——魔王殿下!」
♬(BGM:関東GⅠファンファーレ+観客SE)
鳩:ポ〜(記録:魔王、ゲート入り完了)
鳩:クル〜「……なお、スタート直後から暴走中」
「では改めまして、本日のスペシャルゲスト——魔王殿下ですわ!」
(拍手SE)
「うむ。余がこの電波を支配する日が来ようとはな」
「ふふ、頼もしいお言葉ですわね。
さて、今回“愛を叫ぶ”にあたり、魔王殿下ほどピッタリなお方はいないと思いまして——」
「誰がどう見ても事故の予感しかしないけど!?」
「なにやら最近、かわいい恋人ができたと伺いましたの♡」
「……うむ。勇者のことだな」
(会場ざわっ)
「まぁ!電波に乗って堂々と! 素敵ですわ〜!」
「やめてぇぇぇえええ!!」
鳩:ポ〜(記録:王妃、公共の電波で愛を拡散中)
「ではここで、リスナーの皆さまからの質問をいくつかご紹介いたしますわね」
「ふむ、答えようではないか」
「まずは……“恋人のことは、なんとお呼びしているのですか?”」
「“勇者”と呼んでおる。だが、ふたりきりの時は——“かわいいの”だ」
「まぁ♡ “かわいいの”ですって! すてきですわ〜!」
「やめてぇぇぇ!そういう裏設定、今ここで暴露しないで!?」
鳩:ポ〜(記録:リスナーの心臓、数名沈黙)
「では次の質問。“殿下から見て、恋人のいちばんかわいいところは?”」
「そうだな……寝相の悪さ、か」
「まぁ……?」
「無防備に余の腕に絡みつく姿、たまらん」
「放送事故ぉぉぉ!!!」
鳩:クル〜(え?まさか…同棲?)
***
「それでは最後に、“あなたの愛を叫んで!”のコーナーですわ!」
「では、殿下。愛をお叫びになる準備はよろしいかしら?」
「うむ、いつでも良いぞ」
「では——3、2、1……どうぞっ!」
「勇者ぁぁぁ!余はお前を愛しておるぞぉぉ!!」
「やめろぉぉぉ!!!」
鳩:ポ〜(記録:電波、愛により崩壊)
「とても愛あるお叫びで素敵でしたわ♡
本日のスペシャルゲスト、魔王殿下でした!」
♬(拍手SE + 番組TM『HEART STATION』)
「さて、本日の『愛を語れ!魔界から生放送スペシャル!
supported by 王国広報局』、いかがでしたか?
また来週、お耳にかかりましょう!
みなさま、愛に溢れた毎日を——王妃でした♡」
鳩:クル〜(記録:王妃、完全にラジオ慣れ)
【あとがき:王妃の執務室にて】
放送を終えた王妃は、優雅に紅茶を口にしながらスタジオモニターを見つめていた。
「ふふ……とても素敵な放送でしたわね。
勇者さんも、殿下も、“愛”を世界中にお届けできましたし」
鳩:クル〜「王妃様、王国・魔界ともに“愛の電波”が記録的に拡散中です」
「まぁ、それはようございましたわ。えぇ、すべて計画通りですの♡」
鳩:クル〜「……まさか、この放送のために薄い本の売上まで再投資を?」
「ふふ、民の“愛”が新しい電波塔を支えるのですもの。
素敵な循環ですわ〜」
そう言って、王妃は軽やかに書類をまとめる。
「さて——次は、“王”のお時間ですわね」
鳩:クル〜(記録:王妃、次の企みへ移行)
──次回。
舞台は王城へ——。
王と王妃の“愛の形”とは?
そして、王妃の一言で王国が揺れる──!?
鳩:クル〜(記録:次回、王妃の動向に要注意)
鳩:ポ〜「危険察知! 全鳩、回避行動ーーーっ!!」




