33/70
短編エピソード12『深夜の冷蔵庫探検』
短編エピソード12『深夜の冷蔵庫探検』
夜中の2時、喉が渇いた信吾は、寝ぼけ眼でキッチンへ向かった。
だが、台所から「カタッ……」という音。
耳を澄ますと、冷蔵庫のドアがわずかに開き、そこから細長い尻尾が垂れていた。
「……ゴンちゃん?」
声をかけると、尻尾がびくっと跳ね、冷蔵庫の奥で何かがもぞもぞ動く。
信吾がライトをつけると、冷蔵庫のケーキの皿のラップ取られおり、ゴンちゃんは口の端に白いクリームをつけたまま固まっていた。
「夜食は禁止だぞ」
叱ると、ゴンちゃんはゆっくり首をかしげ、まるで「これは夜食じゃなくて捜索だ」とでも言いたげな表情をする。
次の瞬間、冷蔵庫の奥に残っていたブロッコリーをくわえ、素早く逃走。
小さな足音と、ぱたぱたと揺れるしっぽが廊下の闇に消えていく。
「……甘いものよりそっちかい」
信吾はため息をつきながらも、冷蔵庫を閉めた。
翌朝、ブロッコリーの芯だけがリビングの隅にぽつんと残されていた。




