表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
24/70

短編エピソード7『信吾の好き嫌い克服作戦』

短編エピソード7『信吾の好き嫌い克服作戦』


「ねえ信吾、ゴンちゃんってさ、何でも食べるよね」


 ある日の昼下がり、サラダをつまむ美沙が言った。足元ではゴンちゃんが、小さく切ったニンジンを「きゅきゅっ」と嬉しそうに食べている。


「うん、ほんとに好き嫌いないよな。エラいよ、ゴンちゃんは」


「……それに引きかえ、大人のくせにトマトすら食べられない人がいるらしいけど」


「……だって、あの食感と青臭さが……」


 信吾は思わず声を濁す。子どものころからトマトだけはどうにも苦手だった。サラダに入っていようものなら、そっと脇へ避けてしまう。


「でもさ、ゴンちゃん見てみてよ。この前なんてプチトマト喜んで食べてたよ?」


 ゴンちゃんはちょうどその瞬間、冷蔵庫のほうを見て「きゅ」と小さく鳴いた。もしかして、トマトの気配を察知したのかもしれない。


「……わかった。大人としての意地、見せるよ」


 信吾は気合を入れて、プチトマトを一つ手に取る。そして目をつぶり、勢いでぱくり。


 ──もぐもぐ。


 ……やっぱり無理だった。


「うっ……ごめん、やっぱ無理」


「はい、残念。ゴンちゃんの勝ち」


「うう……くやしい」


 その横で、ゴンちゃんは誇らしげにしっぽをふっていた。


「でも、がんばったね。ちょっとだけ、大人ポイントあげる」


「……“ちょっとだけ”かよ」


 信吾はそう言って笑った。テーブルの下から、ゴンちゃんがそっと鼻先を寄せてきた。「きゅ」と小さく鳴いて、まるで「ドンマイ」と言っているかのように




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ