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短編エピソード1『ゴンちゃんの歯磨きはどうしてる?』
短編エピソード1『ゴンちゃんの歯磨きはどうしてる?』
「ゴンちゃん、はい、口開けてー……って、うわ、こら暴れないで!」
信吾が苦戦しているのは、毎晩の日課――ゴンちゃんの歯磨きだ。
まだ小さい頃は、おとなしく口を開けてくれていたのに、最近はどんどん成長して、歯も鋭くなってきた。ほんの遊びのつもりでカプッとされても、指先がヒリヒリする。
「いや、分かってるよ。歯磨きなんて好きじゃないよね……でも、ごはん食べたらちゃんと磨かないと」
ゴンちゃんはイヤイヤと首を振る。信吾は小型のシリコン歯ブラシを片手に、説得と格闘を続ける。
見かねた赤荻さんが、噛むだけで歯垢を落とす“ドラゴン用ナチュラルガム”を作ってくれたけれど、ゴンちゃんはすぐ飽きてしまった。
「困ったなぁ……そのうちぼくじゃ歯磨きできなくなるかも」
ふと、信吾の手を止めると、ゴンちゃんが申し訳なさそうに「きゅ……」と鳴いた。そして、自分から口を少しだけ開けて見せた。
「……ありがとう。えらいな、ゴンちゃん」
少しずつ、歯も、心も、大きくなっていく。
その成長が嬉しくもあり、ちょっぴり寂しくもある信吾だった。




