第0章「外伝・銀色の勇者」①
※勇者クロウ・ストラディバリの物語です。
香澄と入れ替わる前~入れ替わってすぐぐらいまで。
香澄視点のときは1人称視点、それ以外のキャラ視点のときは3人称視点で書いていきます。
香澄がこの世界へ導かれた日。
刻限はそれより更に一時間ほど遡る。
時刻は夜の七時。冷たい秋の風を頬に感じる。
目の前には物々しい鉄の門。
その両脇にはつい今しがた気絶させた二人の魔族が倒れている。
この門の見張りをしていた兵士だ。
「ここが、魔王城か……」
勇者クロウ・ストラディバリは、門の奥に聳える大きな城を見上げながら、聖剣の柄を握り締めた。
鉄の擦れる音。キィという耳を刺す音。
重苦しい門を押しながら、クロウは昨夜の夢を思い出していた。
それは、まるでこことは別の世界の夢だった。
灰色の、しかし人の手で整えられた地面。
まるで貴族が住むような奇麗な家が見果てぬ先までどこまでも立ち並び、そのどれもが今まで目にしたことが無いほどの高度な技術を以って建てられている。
鉄板と硝子で全面を覆った黒い車輪の戦闘馬車が、先ほどから何台も行き交っている。何らかの意図で、魔術を使って馬を見えなくしているのだろう。
ただし、常識外れな速度で走る戦闘馬車に乗っているのは、兵士のようには見えなかった。
行き交う人々は誰もが小奇麗な格好をしている。
クロウの視界の中心を歩く少女もまたそのうちの一人だった。
少女はプリーツのついた特徴のあるスカートを履いていて、平らな茶色い鞄を手に持っている。
そして、虎とも龍とも似つかわない声がまたひとつ響き、
そして少女が、赤い戦闘戦車に跳ね飛ばされた。
少女は頭から血を流していた。
灰色の地面に倒れる少女に、同じ服をした少女数人が駆け寄っている。
『香澄、香澄っ!』
おそらくそれが、倒れている少女の名前なのだろう。
けれど何度呼ばれようと、少女が目を覚ますことはなかった。
そんな夢だ。
妙にはっきりと覚えている、後味の悪い夢。
「……どうして今、そんなことを思い出したんだ?」
クロウは足を止め、大きく息を吸う。
魔王とその側近の最高幹部を相手に、魔王の城まで攻め込みに来たのだ。
余計なことを考えている余裕も無い。
一瞬の気の緩みが命取りになる。
勇者であるクロウの命には、人間全ての命運が懸かっている。
この戦い、負けるわけにはいかないのだ。
クロウ・ストラディバリ:聖剣に選ばれた勇者と呼ばれる人物です。
そして香澄の次元同位個体である人物です。
魔王との決戦前なので、まさかのおふざけなし。
真面目なすてらはすてらに非ず。明日は雨が降るに違いない。
というか、後書きなんて読んでないで次へどうぞ!
物語が動くのは次からですので!






