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ユグドラシル物語~未来を見る瞳  作者: あおい聖
聖王国編 第三部 氾濫
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16.5話

 南門



「コウ! ハルカ! 狙撃兵の指示は任せた!」



 ツトムの声に



「了解! 了解!」



「分かりました!」



 そう言ってコウとハルカはライフルを持つ兵の下へ駆けて行く


 ツトムは振り返りなおも指示を出す



「アカネはラビィと共に魔術師団に合流! 梯子を持つオークを優先的に狙え!」



「は~い! 行こラビィちゃん!」



「キュッ!」



 器用に前足を上げ返事をしたホーンラビットを抱えたアカネが魔術師団のいる方へ駆けて行く



「さて、今日はどうなるかな・・・」



 その呟きは慌てて駆けこむ兵士により遮られる



「賢者様! サイラス様からの伝令です!」



 ツトムは伝令の兵に向き直り



「はぁ・・・それで何かな?」



「ハッ! 『オーク共は兵糧に乏しく、本日は死に物狂いで攻めてくる。』とのことです!」



「ちっ! 聞こえたな! 休憩している兵もたたき起こせ! 今日は総力戦となる!」



 ざわめく兵たちに



「慌てるな! 飢えているということは冷静ではないはずだ! 慌てずに対処すれば大丈夫だ!」



 ツトムの怒鳴り声が響き渡ると辺りは静まり返り


 ・・・


 ・・・


 しばらくすると



「「「おおっ!!!」」」



 と歓声が上がる


 まさにその声と康応するかのようにオークたちが駆けだす



「第一小隊!・・・撃てぇぇぇ!」



 コウの号令でパンパンと乾いた音が鳴り響く



「第二小隊! 撃ち始めてください!」



 続いてハルカの号令のもと狙撃兵から魔力弾が放たれた



 その銃撃も気にせず迫るオークたちに



「魔術師団! 迎撃開始するよ~!」



 アカネの声に合わせ【ウォーターアロー】が次々と放たれる


 腕を組み見ていたツトムは周囲を窺い、不意に表情を険しくして



「くっ! 間に合うか?」



 そう言って霊木の杖を取り出し


 魔力を集め



「【マジックウォール】」



 広範囲に不可視の壁を出現させると


 そこへ矢が降りそそぎ弾かれる



「はぁはぁ・・・間に合ったか?・・・くそっ!」



 ツトムはアカネのいる位置へ駆けだしアカネに飛びつくと


 槍が物凄い勢いで飛来してツトムの右肩・・・更に左足へと突き刺さり


 なおも飛来する



「「「うおぉぉぉ~~!!!」」」



 盾を持った騎士たちが駆けつけ槍を防ぐ



「先生?・・・先生!」



 アカネは抱えられたまま泣きながらツトムを呼ぶ



「「先生!」」



 コウたちも駆けつける



「はぁはぁ・・・何をしている!・・・はぁ・・・迎撃を続けろ!」



 その場に立ち止まるコウたちへツトムは更に



「・・・はぁ・・・俺は・・・大丈夫だ・・・はぁ・・・大丈夫だから!」



 コウは唇を噛みしめ踵を返す


 ハルカは



「アカネちゃん! 先生をお願い!」



 そう言って振り向き駆けだした

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