10.5話
レミエル姫は訓練の様子を見ていた。
(まぁ、武具走ですの? 私でも2周位しかできないのだけど・・・)
様子を窺っていると
2周目でカナメ、ノボル、ミコト、それにコウ以外が遅れだした。
(そうですよね。それにしてもカナメさまは余裕が御有りになるみたいですわ。)
4周目に入るとカナメとノボル以外はもう走っていない
(きゃ~! 凄いですわ。凄いですわ。)
するとサイラスから止めるよう指示が入った。
(何言ってますの? 4周など騎士でも上位の者くらいしかできませんわ。)
続いて兵士とカナメが組み手の準備を行い、興味本位の兵士たちが周りを囲んだ
「そんな奴らに負けんじゃね~ぞ!」
「「「そうだ! そうだ!」」」
兵たちの間からそんな声が上がる
(も~何を言っているのですか! カナメさまが負けるわけありません! 私を助けてくれた方ですよ?)
開始の合図と共にレミエルはカナメの動きに釘付けになっていた。
(きゃっ! わっ! 凄い! 凄いですわ! きゃぁ~カナメさま~!!)
見ると兵士から繰り出される連続突きを躱し懐へと潜り、最後には兵士を倒すカナメの姿があった。
周りの兵士から
「つ・・・つえぇ~」
(そうですカナメさまは強いのです。)
「あれでLv.1? 嘘だろ・・・」
(そうなんです。お爺様も上層部の方々も見る目が無いのです。)
そうレミエルが心の中で思っていると兵士たちがカナメに押し寄せる
「次、俺と組み手をしてくれ!」
「何言ってんだ! 俺としてくれ!」
「おらがこの中で一番強い! おらとしてくれ!」
「「「ない、ない!」」」
いかにも弱そうな男が一番強いなど言う物だから周囲の兵士から一斉にツッコミが入る
「クスクス。」
レミエル姫は思わず笑ってしまった。
すると視線がレミエル姫に集まる
(恥ずかしいですわ・・・)
レミエル姫が恥ずかしそうにしていると
「わははははっ! これは愉快! 貴様大きく出たな? 俺より強いってのか? わっはっはっ!」
サイラスが豪快に笑いだし
「そいつはねぇ~サイラス様より強いなんて・・・ククク・・・」
何処からともなく聞こえてきたその一言で兵士たちが一斉に笑い出した。
(あっ!皆の笑顔・・・久しぶりに見たわ・・・)
レミエル姫もつられて笑い出す。
それからレミエル姫は午前中はカナメと兵士たちの組み手を見て過ごす。
みんなが笑顔で続ける様を見ながらレミエル姫は
(こんな日常がずっと続けばいいのに・・・)
その光景を遠目で見ていた黒い影があった
「ほぉ~無職だとのことであったが・・・計画を早めた方が良いか・・・」
そう呟き影はす~と消えていった・・・




