06話 闇に蠢く者
シルドナの戦いが終わった夜。
月は雲に隠れ薄暗く辺りは見通しが悪いそんな中、聖王国軍が本陣を置いた場所で蠢くものがあった。
「こんなとこで・・・死んでたまる者か・・・」
肥え太った男は腕がおかしな方に折れ曲がり、顔には無数のあざが出来腫れあがっていた。
「このアードルフ・・・必ずや返り咲いて見せる・・・」
アードルフはそこかしこに散らばる肉片を口に含み呟く。
風が吹き雲が流れ月明かりが降りそそぐ・・・アードルフは死体の臓物を食らって血で真っ赤に染まっていた。
そして、一口口へと運ぶたびに肌の色が黒く染まりだし変わって行く・・・
そんなアードルフを上空から見ているものがあった。蝙蝠の翼を大きくしたものを背中から生やし、頭の両側から耳の上を通るように牛の角のようなものが生えていた。銀色の長い髪をなびかせた男は
「クククク、これだから下等生物は面白い。その音叉の力思う存分解き放つがよい!」
男が両手を広げるとアードルフの周囲に六芒星が怪しく光を放つ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
翌朝、アードルフは日の光に焼かれるような痛みを感じ目を覚ます。
「グガァァァ!!! 熱い! 痛い!」
転げまわり木陰へと入ると痛みが和らぐ
「はぁ・・・はぁ・・・どういうことだ・・・」
自身の手のひらを観察すると黒く変色していることに気が付く
「なっ! 何だ? 何が起きておる。」
服に手を擦る付け手を拭く、しかし黒いまま変わることが無い。アードルフは考え込み周囲を窺う・・・すると目の前にははらわたを引き裂かれ、口より血を流し死んでいるセウロの顔がアードルフを睨み付けるように佇んでいた。
「ひっ! まさか昨日の・・・儂は知らん! そんなはずはない!」
アードルフは顔を引きつらせ、慌てた様にその場から逃げ出す。ジュッと焼ける匂いをさせながら・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
アードルフは走るたびに身体が軽くなるのを子供のように喜び更に駆ける。近くを通る者たちが悲鳴を上げ逃げ出すのも気にせずに・・・昼が過ぎたころにアードルフは【アーマネス】をその目に捕らえるとこまで来ていた。
「おおっ! 儂は帰って来た! 帰って来たぞ!」
両手を広げ喜ぶアードルフに無数の矢が突然襲う。ズバズバと突き刺さる矢にアードルフは声を荒げる。
「伯爵たるこの儂に矢を射るとはいい度胸だ! 名を名乗れ!」
すると騎馬に乗った騎士が駆けて来て槍を突き出しながら
「日の光すら克服したかこの化け物め!」
槍が左肩に突き刺さり、左腕が宙を舞う。




