アランの提案
科学技術大学の会議室にて
一時帰国したゴードンの大発見を聞くために、ロジャー、アレックス、スコット、ジョン、バージルが集まっていた。アランは、まだ、日本の工藤博士の元で研修中のため、テレビ会議で参加だ。
ゴードンは、会議室のプロジェクターに、大発見の概要を説明した。実験報告も行い、理論値で従来の500倍、実用レベルで200倍の性能が出そうだと付け加えた。
ロジャーは、これが実現すれば、新CPUとして、タンバ国の一大産業になる可能性を考えた。タンバ国に大工場の出現を思い描き始めていると、スコットから「ゴードン、君のアイデアは素晴らしい。コンピュータ上でのシュミレーションも、問題なさそうだ。しかし、物理的に、それを作成する方法がないと思う。この設計図を渡して、台湾の会社でも、アメリカの会社でも、そして、日本の会社でも、これを実現できる会社は、存在しないぞ。」と、言った。たしかに、スコットの言うとおり、実現は難しいそうだった。ジョンは、もしかすると、このようなアイデアは、いろいろ存在するが、実現不可能さによって、だれも、発表されていない、空論に扱われているのかもしれないとも、考えてみた。
アランは、ゴードンのアイデアは確かに、すごいと思ったが、実現する方法も思いつかないので、そのまま聞いていた。
すぐには、実現できないだろうということで、ゴードンは、実家で、両親と数日を過ごして、アメリカに戻った。両親にとっては、息子が、どんな研究をしているのか、想像もできなかったが、スーツ姿の息子の姿は、なんだが、まぶしくて、目のやり場に、困ってしまった。会話もぎこちなかった。ゴードンは、自分が、あまりにもかけ離れた世界にいっているんだと、つくづく感じた。幼馴染にも、会う気がしなかった。かつての遊び仲間がマドンナと呼んだ女の子にも声はかけなかった。何を話していいのか、思いつかなかったし、彼女はすでに、結婚しているかもしれなかった。両親は、なにか知っているかもしれないが、何も言わなかった。
研修生アランは、工藤博士におばあちゃん、おじいちゃんにもすっかり、気にいられて、おばあちゃん、おじいちゃんの案内で、東京見物に出かけることにした。すると、オサム君も一緒に行きたいというので、4人で東京見物に出かけた。もちろん、ハル君はお留守番だったが、ハル君の気分は、一向に晴れなった。心の中で、アランを妖術使いめ!と、ののしる声が、ぐるぐると響いていた。
アランたちは、まず、浅草に行って、お参りをして、スカイツリーから東京を眺めて、江戸時代の気分を探しに、江戸東京博物館に行った。築地で、お寿司をたくさん食べて、築地本願寺を散策して、今日の東京見物は終わりとなった。おばあちゃんと、オサム君は、大分疲れた感じだった。
アランには、東京の交通機関の複雑さと混みように、参った感じだった。あのくらいの距離なら、歩いていった方が、たのしいと思ったが、他の人は、ついてこれないに違いなかった。ここは、タンバ国ではないのだから。
次の日曜日、アランは、工藤博士の家にいた。
この間の東京見物の時に、オサムくんが、アランに折り紙を教えてくれる約束をしていたので、アランは、折り紙を教えてもらうためにやってきた。
最初に、オサムくんは、新聞紙で、カブトを折って、アランの頭にかぶせた。次に、オサムくんは、折り鶴を折った。アランは、オサムくんの説明を聞きながら、折始めたが、なかなか、うまくいかなった。10ほどやると、アランの折り鶴も、それらしくなってきた。他にも、いろいろな折り紙を折った。
そこへ工藤博士がやってきて、珍しい折り紙の本を見せてくれたが、とても、1枚の紙を折ったものとは思えなかった。アランにとって、不思議な感じがしたので、どうして、一枚の紙を折っているだけなのに、立体的になるのか、なかなか納得できないのだった。とても不思議な気がした。
その夜。寮に戻って、ロジャー校長やバージル、スコットたちに、折鶴と折って、送ってあげようと、オサムくんとのやりとりを思い出して、折始めた。
すると、ゴードンの3次元CPUの製造方法を思いついた。そうだ、この折り紙のように、作ればいいのだ。平面状に、3次元CPUの展開図を作成して、それを、折りたたんで、3次元CPUを作れるんじゃないかと思いついた。試しに10個からなる3次元CPUの展開図を紙に書いて、それを折り紙の要領で、折りたたんで3次元CPUになるか、試してみた、20個ぐらいまでなら、なんとか、なりそうな気がしたが、それ以上は、思いつかなかった。と言うより、この方法の限界のように思われた。ゴードンの理想的3次元CPUより、性能は、劣るが、それでも、それでも、3次元CPUが、できそうだった。製造にあたっては、3次元CPUを折りたたんで作成することはできないので、3次元CPUの展開図を、そのまま2次元で作成して、それに3次元CPU機能のようにする方法が、より実現的と思われた。最大の問題は、2次元に広がった周辺のCPUを立体構造につなぎ合わせるためには、なんらかの配線作業が必要と思われた。すると、この2次元展開図が、歪み出して、円形の配置にねじれ、周辺の配線を展開図内に組み込んで、一括作成が可能になるのに気がついた、
早速、アランは、3次元CPUの展開図と周辺の配線のための変形化を行い、配線処理をして、それを3次元的に組み上げたイメージを作成して、動作をシミュレーションして、また、そのまま、展開図に戻して、その展開図のまま、3次元CPUとして、動くか、シミュレーションしてみた。すると、2次元構造のまま、3次元CPUとして、動くと確信を得た。
そこで、その展開図を、あまり、解説をつけずに、3次元CPUの展開図庵として、ロジャー、スコット、ゴードン、バージルたちに、メールした。謎解きクイズ形式で。
この展開図の完成図は、1週間後に、きちんとした形と説明をつけて、送るとコメントつけた。
そして、この3次元CPUを2次元で作成する方法を、アランは、ORIZURU メソッドと名付けた。
アランの頭の中で、1枚の紙から、色々にたたまれて、3次元CPUになり、その展開図が、2次元に戻り、また、3次元にたたまれて、また、2次元に戻ったり、何度も、何度も繰り返し、おこなれた。
そして、気がつくと、朝日が、部屋のカーテンを照らしていた。
なんとも、不思議な夜が明けた。




